最後に登場した「iOS 10」は、10番目のマイルストーンと呼べるリリースであり、「過去最大のiOSリリース」「開発者にとって巨大なリリース」になるという。基調講演では数多く提供される新機能・強化機能の中から以下の10機能が紹介された。

  • iOSエクスペリエンス:iPhoneを立てるとスリープが解除される「Raise to wake」、ロック画面の通知の3D Touchインタラクション、新デザインのコントロールセンターなど
  • Siriをサードパーティに開放、SiriKitを用意
  • QuickTypeの強化:LSTMを用いたインテリジェントな入力予測
  • 写真アプリ:写真をスキャンし、人、場所、イベントなどを基にコレクションや美しいスライドショーを自動的に作成する(「Memories」)
  • マップの強化:新デザイン、プロアクティブな提案、ナビゲーションに交通情報、ガソリンスタンドやレストランなどを表示
  • Apple Musicのデザイン刷新
  • ニュースアプリのデザイン刷新
  • Homeアプリ:HomeKit対応家電を管理
  • 電話アプリの強化:サードパーティのVoIP通話の統合、ボイスメールのトランスクリプト、コーラーIDのスパム警告
  • メッセージ・アプリ:アニメーションやエフェクトを用いた表現、見えないメッセージ(バブルをなぞると現れる)、リンクのプレビュー、手書きメッセージ、タップで絵文字に変換、ステッカー(App Store for iMessage)、iMessageアプリなど

新デザインになった「Control Center」、インタラクティブに操作できる通知など、ロックスクリーンとホーム画面の新機能

iPhoneを手に手首を返すと自動的にスリープが解除される「Raise to wake」

写真アプリ、マップ、Apple Music、HomeKit、メッセージは、iOSのみの強化ではなく、他のプラットフォームにもまたがる強化である。それらもiOS 10の強化機能として説明したのは、iOSがApple製品の中で大きな存在であり、そしてモバイルの競争が激しいためだろう。Siri、写真アプリ、マップの強化はGoogleを意識しているように映るし、メッセージにはさらにたくさんのライバルが存在する。そうした中で、単に同じ機能を提供するのではなく、Appleらしい実装になっているかが評価ポイントになるだろう。

メッセージをStickersで表現できるように

iOS 10の概要を説明したCraig Federighi氏が最後に触れたプライバシー保護も、その1つである。FaceTimeやメッセージなどのコミュニケーションをエンドツーエンドで暗号化し、またユーザーに便利なサービスを提供するための分析はデバイス内にとどめる。検索やマップの使用などユーザーの使用動向からユーザープロフィールを作成することはない。「素晴らしい機能だけでは不十分であり、素晴らしいプラバシーも兼ね備えるべきいうのが私たちの考えだ」とFederighi氏は述べた

ユーザーの情報やユーザーの分析に基づいたパーソナライズは便利だが、素晴らしい機能もプライバシーがしっかりと保護されていなければ安心して使用できない