"Polaris"で「VRの裾野を1億人規模へと拡大する」

一方、AMDでグラフィックス製品の開発を指揮する、Radeon Technologies Groupの代表兼チーフアーキテクトのRaja Koudri氏は、開発コードネーム"Polaris"で知られる「Radeon RX 480」を6月29日に発売し、そのエントリーモデルは199米ドルで投入することを予告した。

Radeon RX 480を披露するRaja Koudri氏

Koudri氏は、VRが注目を集めているが、世界の大多数のPCはVRに対応していない現状にふれ、VRの普及を阻んでいる最大の要因はコストだとして、コストパフォーマンスに優れる「Radeon RX 480」によって、VRの裾野を広げるという。

現在、VR対応のPC環境は全世界に存在する14.4億台のPCのうち1%程度の1,300万台しかないと言う

VRの普及を阻害している最大の要因はコストだと指摘

プレミアムVR環境を実現するRadeon RX 480のエントリーモデルは199米ドルと発表

同氏は、Polarisでは14nm FinFETプロセスの採用により、従来製品に比べて1.7倍のパフォーマンス/ワット(電力あたりのパフォーマンス)を実現するほか、アーキテクチャの改良などで、最大2.8倍のパフォーマンス/ワットを達成すると説明。またスペックとして、

TFLOPS 5TFLOPS以上
Compute Units 36
メモリ帯域 256GB/s
データレート 8Gbps
メモリサイズ 4GB/8GB DDR5
メモリビットレート 256bit
消費電力 TDP
VRプレミアム 対応
AMD FreeSync 対応
DisplayPort 1.3/1.4 HDR

というデータを公開した。このデータをもとに、Polarisも従来のGCNアーキテクチャを同じ1CUあたり64基のコアを統合する構成を採るのであれば、36基のCU(Compute Unit)を備えるRX 480は、36×64=2304コアを統合している計算になる。

Radeon RX 480の基本スペック

14nm FinFETプロセスの採用により、従来製品に比べて1.7倍のパフォーマンス/ワットを実現。さらに、アーキテクチャの改良なので、最大2.8倍のパフォーマンス/ワットを達成

また、Koudri氏は「Radeon RX480をCrossFire構成で組んでも500ドル以下で済む上、グラフィックスパフォーマンスのみならずCPUへの負荷も、競合の700ドルクラスのカードより優れている」と、NVIDIAのGeForce GTX 1080より、コストパフォーマンスに優れるとアピール。先行するNVIDIAを牽制した。

また、Koudri氏は、Radeon RX 480の投入により「VRの裾野を1億人規模へと拡大する」として、VR時代のグラフィックス市場においてリーダーシップを取る意向を明らかにした。

Radeon RX 480のデュアル構成なら、コストだけでなく、グラフィックスパフォーマンスのみならずCPUへの負荷も、GeForce GTX 1080より優れているとアピール

一部で描画品質の差から物議を醸したRadeon RX 480デュアルGPU(画面左)とGeForce GTX 1080(画面右)の比較デモ。AMDは、GeForce GTX 1080の描画が正しくないと主張するが……

Radeon RX 480のリファレンスカード

Lenovo Y900-34ISZで、Radeon RX 480の実働デモも披露