アドバンテック、ARM、ボッシュ、センシリオン、日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)の5社は6月9日、IoTセンサプラットフォームのオープン規格「M2.COM」について、長距離無線技術「LoRa」を提供するセムテック・ジャパンを加えて、日本市場における標準化活動に向けたパートナーシップを締結したことを明らかにした。

同規格は、異なるプラットフォームやテクノロジーの標準化に向け、センサメーカーとモジュールメーカーがIoTセンサおよびセンサノード向けに策定したオープンプラットフォームで、M.2コネクタを採用することで、産業機器に必要とされるさまざまな種類の無線技術への対応と内蔵マイコンによるコンピューティング機能を兼ね備えたモジュールとして定義されている。

M2.COMの立ち上げについて、アドバンテックの社長兼日本地区最高責任者であるマイク小池氏は、「IoTビジネスを爆発的な勢いで立ち上げることを目指し、標準化プラットフォームの策定を各社に呼びかけた結果、ARM、ボッシュ/ボッシュセンサーテックジャパン、センシリオン、日本TI、そしてセムテック・ジャパンと連携する形で、製品として提供できるものが開発された。今後は日本市場におけるパートナーの募集を図り、標準化を目指していきたい」と抱負を語っている。

M2.COMでパートナーシップを組んだ6社。左から日本TI IoTソリューションズ マネージャの酒井正充氏、センシリオン 代表取締役社長の瀬戸直行氏、アドバンテック 社長兼日本地区最高責任者のマイク小池氏、アーム 代表取締役社長の内海弦氏、ボッシュ/ボッシュセンサーテックジャパン ジェネラルマネージャーの平井哲也氏、セムテック・ジャパン 社長の吉邑裕治氏

今回の提携によって、Cortex-M4(動作周波数80MHz)を採用したTexas InstrumentsのCC3200を搭載したアドバンテック製のIEEE 802.11bgn対応M2.COMモジュール「WISE-1520」と、それを実際に搭載して活用する開発ボード「WISE-DB1500」、それにSDKなどを組み合わせたものがIoTセンサノードのスターターキットとして提供される。

IoTセンサノードスターターキットのイメージ

モジュールとしては、WISE-1520のほかに、2016年秋にLoRa対応モジュール「WISE-1510」を、2017年にはBuletooth対応モジュール「WISE-1530」やLTE対応モジュール「WISE-1570」を提供していく予定としている。

IoTセンサノードはマイコン、無線通信、電源管理、センサ、そしてそれらを監視するエージェントで構成される。対応OSとしてはmbed OSやRTOSとなっている

提供方法としては、アドバンテックから直接購入(オンラインストア経由も含む)か、同社のチャネルパートナーから購入することが可能になるとしており、「まずはスターターキットを購入してもらって、それを用いて検証を行ったうえで、モジュールの活用などへと発展して行ければ」(アドバンテック)としている。そのスターターキットの価格としては、目安ながら、IoTデバイスのリモートモニタリング/マネジメントプラットフォーム「WISE-Paas/RMM」や、そのベースとなるMicrosoft Azureのライセンス料なども含めて10万円程度から、とのこと。すでに複数のセンサベンダやシステムベンダなどが興味を示しているとのことで、今後のパートナーの枠組みの拡大が期待される。

スターターキットのデモの様子。温湿度センサの情報をクラウド経由でブラウザに表示している