意外な需要

大竹氏によれば、オープン以来「意外と1名様でいらっしゃる女性が多い」とのこと。たしかに筆者が訪れたカフェタイムでも女性の1人客が少なくない。男女比でいうと3.5:6.5といったところだろうか。オープン当初は2人以上のグループ客を想定していたものの、仕事終わりなどに1人でやって来てサクッと飲んで帰る、という女性が案外多いようだ。これはケンタッキー側にとってうれしい誤算だった。

夜のフードメニュー。かわいらしいイラストが添えてある

野菜メインの料理も取りそろえている。写真は「まるごとトマトのタプナードソース バゲットつき」

「いつ来てもにぎわっている、というのも入りやすい理由かもしれません。私もそうなんですが、店内に人が少なすぎても入るのって勇気がいりますよね」(大竹氏)という指摘も。なかには女性のヘビーユーザーもいるそうだ。

そのほか、「二次会」需要もあるとか。閉店時間は22時、金・土のみ23時となる。「ちょっと飲み足りないけど、そこまで長居はできないから居酒屋へ行くのも……」というシチュエーションにフィットするのも、高田馬場店の強みといえそうだ。

バル形式のお店は増やす?

好調な様子のKFC 高田馬場店だが、大竹氏は「すべての店舗にカフェ&バル形式を導入することは一切考えていません」と話す。今回のコンセプトは高田馬場という立地に合わせて店作りをした結果。今後はカフェやバルといったものにとらわれず、ニーズに合わせて柔軟に新しい業態を広げていく。

やはりカーネルハイとフライドチキンの組み合わせが人気だそう

一応、20代女性のひとりである筆者だが、たしかに「ここなら1人でも入りやすいな」という感想を抱いた。おそらくは、チェーン店という安心感、一方で"他にはない"特別感、女性客が多いことがうかがえるガラス張りの外観などが要因として挙げられるのだろう。

ケンタッキーのみならず、今や各社がこぞってアルコールメニューを提供し出した。おそらく走りは吉野家の「吉呑み」だろう。しかし、今回紹介した業態はそれとは少し違ったアプローチ。サクッと寄れる気軽さと、オシャレな雰囲気を兼ね備えたことで、これまで取り込みきれていなかった若い女性層もファンにしていく。大竹氏は「まず来てみてほしい。そこからファンになってほしい」と語ってくれた。