素材へのこだわりを前面に打ち出したり、アルコールを提供したりと、どちらかといえば大人受けしそうな店舗が注目を集めるハンバーガー業界。老舗の日本マクドナルドが自信作として発表したのは、「すべてのハンバーガー好き」をターゲットとするシンプルな新商品だった。高級路線のバーガーショップとは一線を画し、家族連れやサラリーマンなど、あらゆる層の顧客にリーチしようとする姿勢を崩さないマクドナルド。一度は離れた顧客にも訴求したいという新商品はヒットするのだろうか。

新商品のクラブハウスバーガーは、ビーフ(写真手前)とチキン(写真右)の2種類で展開する。値段は単品がビッグマックより120円高い490円、バリューセットが790円。ハンバーガーのほか、「マックフィズシチリアレモン」と「シャカシャカポテトクアトロチーズ」も同時に発売する

すべてのハンバーガー好きに提示する王道の味

新商品のクラブハウスバーガーは、マクドナルドが「BurgerLove」(バーガーラブ)のコンセプトで仕掛ける新商品の第2弾。4月27日から期間限定で販売する。ビーフパティは新商品に合わせて特別に開発。具材は奇をてらわず、ベーコン、レタス、トマトといった王道の構成とした。同社マーケティング本部メニューマネジメント部の若菜重昭上席部長は「マクドナルドがハンバーガーを極めたら、こんな味」と新商品の品質に自信を示す。

新商品に対する自信の根拠は、発売に先駆けて実施した試食会の反応にあるようだ。マクドナルドは4月4日、最近マクドナルドを利用していない顧客、つまりは「マック離れ」の状態にある顧客50人を招待して試食会を開催。5段階の星付けを依頼したところ、平均4.2点の評価を獲得したという。

事前評価の高さから、新商品に自信を示すマクドナルドの藤本氏

「この評価であれば、すでに来店して頂いている顧客にも喜んでもらえるのは間違いない。(マクドナルドから足が遠のいている)顧客が来店するきっかけになれば」。同社マーケティング本部ナショナルマーケティング部の藤本靖部長は、クラブハウスバーガーが既存客(いわゆる常連)に受け入れられる商品に仕上がったと強調した。

問題はマクドナルドから足が遠のいている顧客の反応だが、藤本氏は新商品投入によるマック離れの解消にも期待を示した。あえてマック離れの顧客に新商品を試してもらい、高評価を得たという点を広く世間に打ち出すため、新商品のテレビコマーシャルには試食会の模様を編集した映像を使用する方針だ。

プロモーションにもみなぎる自信

プロモーションの方法からも、新商品に対するマクドナルドの自信のほどが見てとれる。商品を販売する際、顧客に星付け評価のスクラッチカードを配布し、その評価・感想をSNS上で拡散してもらおうというのだ。

マクドナルドから足が遠のいている顧客の新商品に対する評価は高かった(写真左)。プロモーションでは購入者にスクラッチカードを配布し、新商品の星付け評価を促す(写真右)。評価・感想をツイッターに投稿した顧客には、抽選で200人に5,000円分のマックカードをプレゼントする

試食会とは違い、一般顧客が個人的に下す新商品への評価にはばらつきが出そうな気もするが、こういった方法を採用すること自体に、マクドナルドの新商品に対する自信が現れている。気になるのは、マクドナルドが打ち出す新商品が、今のハンバーガー市場に受けるかどうかだ。