Noctuaは、静かで冷えるハイエンドCPUクーラーを手堅く作る一方で、アクティブノイズキャンセル(ANC)機能付きCPUクーラーという、妙なモノの開発も続けているメーカーである。このANCについては弊誌でも毎年紹介しており、毎回「来年発売」と言われるのがお約束だったのだが、今年、ブースを直撃した記者が見たものは……。

COMPUTEX会場のNoctuaブース。今年こそ発売されるか……

ファンから発生する騒音を低減するために、各社はブレードの形状などを工夫しているのだが、高速に回転しているため、どうしても対策には限界がある。そこで、Noctuaが考えているのが、発生した騒音を計測して、その逆位相の音を出すことで、騒音を打ち消すANCである。名称通り"アクティブ"なノイズキャンセルというわけだ。

ANCでは逆位相の音を出すスピーカが必要となるが、これは、ファンのブレードを振動させることで代用する。制御基板を小型化し、ファンの軸部分に内蔵できるようになった、というのが2015年までの経緯である。

【レポート】COMPUTEX TAIPEI 2015 - Noctua、世界初のノイズキャンセルCPUクーラーを今度こそ"来年"に発売か

さて、2016年のNoctuaブースであるが、結論からいうと、ANCの展示は無かった。といっても、開発を中止したわけでは無いそうなので安心して欲しい。何でも、ほかの製品の開発が大変だったせいで、ANCを進める余裕が無かったとのこと。いつもの担当者も「次回は多分展示する」と言っていたので、次回にまた「来年発売」と言われるのを期待したい。

そのほかの展示内容であるが、Noctuaは現在、フィンの形状や素材に関する研究開発を行っているそうで、いくつかの技術がサンプルとして紹介されていた。一般的に、フィンは銅製かアルミ製だが、銅とアルミの合金で作ったフィンがあったのは面白かった。

多数の突起が設けられたフィン

多数の吸気口が開けられたフィン

斜めのパターンが刻まれたフィン

半分だけずらした配置のフィン

銅とアルミの合金で作られたフィン

また、AMDの次世代CPU/APUで採用されると言われている新型ソケット「Socket AM4」へのアップグレードキットも展示。従来のリテンションは使えなくなってしまうそうで、「なぜ微妙に穴の位置を変えるのか……」と、新ソケットへの対応はCPUクーラーのメーカーとしてはなかなか悩ましいようだ。

Socket AM4用のリテンション。従来のものは使えないという

裏側のベース。今までと同じような長方形に見えるが……