NTTグループは5月30日、AI(人工知能)分野でグループ一体となってさらに加速するため、R&Dで培ったAI関連技術群を活用した取り組みを新たなブランドネーム「corevo(コレボ)」に統一し、さまざまなプレイヤーとのコラボレーションを展開していくと発表した。

同社グループでは、急速に注目を集めるようになったAI技術において日本語を中心として、さまざまな解析や音声音響処理などの分野で世界をリードする成果を創出している。例として国際的に技術が表かされている音声認識秘術や40年以上の研究蓄積を背景とした自然言語処理、知識処理技術のほか、人間お感覚譲歩処理研究などが挙げられる。

corevoを構成するAI関連の要素技術を技術開発するにあたり、同社は通信キャリアとしての強みを活かし「Agent-AI」「Heart-Touching-AI」「Ambient-AI」「Network-AI」の4種類をAIとして位置づけている。

Agent-AIはコンタクトセンターや高齢者支援などで活躍する人間の意図や感情を理解するAIで、Heart-Touching-AIはスポーツの上達、メンタルウェルネス向上などを支援するAI。Ambient-AIはヘルスケアや交通制御などの中核にあり、IoTの頭脳としてセンサの知能化を司るAIで、Network-AIは地球規模の全体最適化など巨大システムを超分散リアルタイム処理で支えるAIとなる。

「corevo」を構成する4種のAI

今後4種のAIを実現するために、これまで取り組んできた技術群に加え、corevoの基盤となるキー技術の研究開発に取り組む。具体的にはAgent-AIは、ロボットに代表される擬人化されたエージェントが音声・言語・画像等のメディアを通じて人や人を取り巻く状況を理解し、人の表情や身振り手振り等も加えたマルチモーダルインタラクションをこなし、多言語を自在に操り、膨大な知識に基づいて推論することで人との高度な「対話」を実現することを目指す。

また、Heart-Touching-AIは脳科学の研究を通じて人そのものの認知の仕組みを理解することに力を入れています。知能だけでなく、知性・本能・身体といった人にとって不可分かつ根源的な部分を理解し、人に働きかけ、拡張していくAIを目指す。

さらに、Ambient-AIセンサによるリアルタイムな計測情報に加え、インターネット上の情報と組み合わせ、近未来の「いつ」「どこで」「何が」起こるかを予測。学習型シミュレーションを用いた最適シナリオの立案や先行的な制御の実現を目指し、イベント会場での人流誘導などの適用を想定した時空間多次元集合データ解析技術の研究開発に取り組む。

そして、Network-AIはインフラとしてのネットワークをAIの視点から見直すことで、まったく新しい社会システムを構築できると考え、すでにAI技術の適用によるネットワーク故障の早期予兆検知、運用自動化、トラフィック予測などに取り組んでいる。その先には、複数のAIが有機的につながり成長し、社会システム全体を最適化することを目指していくという。

一方、将来的なcorevoを活用したNTTグループの取り組みとしてビジネス分野では「審査・分析・監視等のミドル・バックオフィス業務」や「窓口対応・コールセンタ等のフロントオフィス業務」など業務の代替・支援による効率的なコストコントロールを実現するソリューションなどを提供。交通分野では「交通等の社会インフラ」への適用をターゲットとして事故のない安心・安全な交通制御を実現する活動に取り組む。

そのほか、インフラ分野ではネットワークシステムオペレーションへのAI技術適用によって、メンテナンスフリーによるオペレーション効率を向上させ、ヘルスケア分野では健康寿命の延長に向けて多様なセンサやコミュニケーションロボットによる自然な音声対話やインタラクションをAIによる高度化で下支えする。

加えて、ライフサポート分野では、自然な音声対話によりコミュニケーションの円滑化を実現するサービスの提供に取り組むとともに、ソーシャルメディアなどのプラットフォームへのAI技術適用により、顧客の状況に応じた適切なコンテンツ提供に取り組んでいく考えだ。

「corevo」を活用したNTTグループの取り組み