総務省の指導の下、今春から”実質0円”による販売モデルが禁止となっている。この影響について問われたソフトバンクグループの孫正義代表は、2016年3月期決算説明会において「実質的な業界規制だとは思うが、日本もいろいろと経験をしてみるべきだ」と持論を展開した。
今春から総務省の指導により、スマートフォンを実質0円で販売することができなくなっている。このことについて、店頭における売り上げ、また夏モデルのラインナップにどの程度の影響がありそうか、と記者団に質問された孫代表は「端末の価格が実質0円で販売されるか否かで、販売される端末の数とその回転率は下がる。それにより利用者は同じ端末を長く使うようになる。ただ、国内のモバイルユーザー数は変わらない。これまで携帯キャリアは、たくさんの端末を販売してきたが、そもそも端末で儲けるビジネスはしていない。したがって回転率が下がっても利益は下がらない」と回答した。
「大切なのは回転率ではなく、トータルの契約者数」と同氏。ソフトバンクでは、いちユーザーが生活の中でスマートフォンを使用する頻度、度合いを深めていくことで、通信収入、サービス収入を増やしていきたいと述べた。
総務省の方針については「売り方に対する実質的な業界規制だと思う」としつつも「国によって方針は違う。それを批判するとか、意見を述べる立場にはない。日本もいろんな体験をしてみるべきだと思っている。その中で一歩一歩、学んでいくことがある」と、どこか余裕の感じられるコメント。
その上で「もっとも、日本の通信料金は世界の先進国と比べても、高くはないのではないか。少なくともアメリカに比べるとはるかに安い。ドイツ、フランスなどと比較してもあまり高くないように感じている」との見解を示した。
続けて「この新しい枠組みの中で、新たな競争が始まる。各社ともユーザーを獲得すべく、いろんな形で努力していく。実質0円が収益にどう影響するか、現時点でコメントするのは時期尚早」とするに留まった。
ソフトバンクグループでは、ワイモバイルブランドで比較的安価な料金プランを展開している。そのことにも触れ、「総務省からガイドラインが出る前から、低価格のサービスを提供してきた。自ら率先してやってきたということ」としている。そのワイモバイルではiPhone 5sの取り扱いを開始している。売上は好調のようで、「ユーザーには好みがある。特に日本の場合は、いろんなニーズがある。そうした中で、結構売れていると認識している。価格で勝負しているワイモバイルが、利用者のニーズに応えている」と胸を張った。