Apple MusicのUIに面倒くささを感じるように

Apple Musicは、筆者も家族プランで加入し、音楽を自由に楽しむようになった。

朝起きて、クラシックのプレイリストを流しながら、身支度をして朝食をとる。仕事場への15分間の徒歩はBeats 1を流し、仕事場に着いたら、気に入っているクラブジャズの自作プレイリストを聞きながら仕事を始める。それが途切れたら、コーヒーを淹れ、最近追加されたアルバムやプレイリストをBGMに仕事を続ける。

Apple Musicに用意されているプレイリストは、アーティストのアルバムのように、その多くがだいたい1時間程度で収められている。そのため、家事や仕事をするときにペースがつかみやすいというメリットがある。

しかし、Apple Musicを使っていると、どうしても「面倒さ」を感じる場面が多い。アルバムやプレイリストの選択をするためのタップ数がものすごく多いのだ。

例えば、朝起きて寝ぼけながら、クラシックのプレイリストを流そうとする手順は次の通りだ。

  1. ホーム画面で「ミュージック」アプリをタップ
  2. 「For You」タブのロードを待つ
  3. 「New」タブをタップし、ロードを待つ
  4. 画面上部のジャンルメニューから「クラシック」を選択し、ニューリリースで気になるものを再生。もし気になるものがなければ、次のステップへ
  5. 画面をスクロールし、「Apple Editorプレイリスト」バナーをタップ
  6. 画面をスクロールし、「クラシック」バナーをタップ
  7. 画面から「必聴アルバム」または「スポットライト」のアルバムを選ぶか、プレイリストを選択

ちょっと意地悪かもしれないが、寝ぼけながら音楽を探している前提でいくとこうなってしまう。「New」タブの「クラシック」ジャンルの中を探していて、冒頭のバナーと3つのニューリリースの次に、プレイリストがあるため、それを押してしまうのだ。

本当は、プレイリストのバナーを押さずにさらにスクロールしていけば、クラシックの注目トラックやトップアルバム、最新リリース、おすすめプレイリストなど、クラシックのジャンルのおすすめを他のページに遷移せずに発見できるはずなのに……。

しかも、この手順でもう一つ不可解なのは、手順5で「New」のクラシックのタブから「Apple Editorプレイリスト」のバナーをタップしたのに、手順6で再びジャンルを選ばされる点だ。クラシックのプレイリストページを開いてくれればいいはずである。

ここで終わりかと思ったら、もう一つあった。手順6で開いたのは、「Apple Editorプレイリスト」の「クラシック」ページであったはずだ。本来であれば、Apple Editorが選んだプレイリスト一覧で表示されているべきページである。

しかし、手順7を見ると、必聴アルバムやスポットライトなどが表示されており、プレイリスト一覧が表示されているわけではない。クラシックの「おすすめ」が表示されており、プレイリストを見るにはそのページ内の「プレイリスト」タブをタップしなければならない。

画面上部を見ると「Apple Music Editor」の「クラシック」ページを開いていることがわかる。つまり、プレイリストのバナーから飛んだのに、Apple Musicのエディターが編集しているページを開いていたのだ。

正直なところ、「Apple Musicのユーザー体験は破綻している」と結論づけるべきだろう。名称の統一や、画面遷移の戸惑いは改善すべき点と言える。ユーザーは、Apple Musicから新しい音楽を発見するのではなく、Apple Music自体の挙動について発見しなければならないのだ。