ここからは、経済産業省の基調講演と、富士通クライアントコンピューティング、さくらインターネットの講演を簡単に紹介する。今回のイベントらしく、いずれの講演も、ストレージとの結び付きや重要性が盛り込まれていた。

IoT推進に向けた経済産業省の取り組み

経済産業省の三浦章豪氏

経済産業省の基調講演を行ったのは、商務情報政策局 情報通信機器課 課長の三浦章豪氏だ。

はじめに2000年代前半からのIT動向をまとめ、「IoT」「ビッグデータ」「ディープラーニング」といったキーワードを交えつつ、現在は「第四次産業革命:データ駆動型社会」であると話題を導入。政府の取り組みや支援について、具体例を挙げながら説明した。

その中で、広大無辺ともいえるデータを蓄積して解析するために、高速で大容量のストレージが重要になるのは言わずもがな。政府の取り組みにとって、ストレージは大きな要素のひとつだとした。

現在を「第四次産業革命:データ駆動型社会」と表現。キーワードとして「IoT」を強調していた

【左】社会に起きている変革を具体的に分析したもの 【右】今後のIoTによって、大きな経済効果を見込む。IoTと聞くとガジェット的なものを思い浮かべがちだが、さまざまな活用シミュレーションと研究が進んでいる

IoT推進に向けた経済産業省の取り組みや、民間支援。平成27年度補正予算と平成28年度予算案にて、119.6億円という規模

富士通の目指すワークスタイル変革の提案

富士通クライアントコンピューティングの大橋慎太郎氏

富士通クライアントコンピューティングからは、営業推進本部 本部長代理の大橋慎太郎氏が登壇。

同社は2016年2月1日に設立され、富士通のPC事業を引き継ぐ。講演テーマは「富士通の目指すワークスタイル変革の提案」だが、前半では島根富士通におけるメイド・イン・ジャパンに対するこだわりと、熟練者が製造する高品質なPCをアピールした。

ワークスタイル変革の具体例としては、大学、医療、自動車、金融、流通、公共といった業種を挙げる。紙からデジタルへのメディア改革、スピーディーな現場支援、業務システム連携といった提案と取り組みを説明。この中には「SSDの導入効果」という話もあり、やはりPCの起動時間が短縮、レスポンス向上、省電力、ストレージ故障率の低下といった現場の声が紹介された。

富士通のPCは、企画、開発・設計、製造、販売、サポートを日本国内での一貫体制で行っている。島根富士通の工場では、1台のPCを17人の熟練者で製造しているという(一般的に100人を超える人数が携わることも珍しくない)

「ワークスタイルの変革」という観点からの、SSDの導入効果

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さくらインターネットにおけるSamsung SSDのメリットと活用方法

さくらインターネットの須藤武文氏

さくらインターネットは、データセンターおよびホスティングサービス事業者の観点から講演。登壇者は、さくらインターネット クラウド開発室の須藤武文氏だ。同社はSamsungのSSDを多く導入しており、他社のSSDを含めた選定の基準やベンチマークテストを紹介してくれた。

選定の基準は大きく3つ。性能などの仕様、価格、不規則な調達に対応できるような供給体制だ。このうち性能に関しては、「最悪の状態でもどれだけ速いか」が重要のこと。例えば、SSDは空き容量が減るほどパフォーマンスが落ちるので、あえて極端に空き領域を少なくした状態でテストする。SamsungのSSDは、こうしたテストでも良好な結果を出し、加えて世代が新しくなると確実に性能が向上している点が優れているとした。

さくらインターネットは、東京、大阪、北海道の石狩にデータセンターをかかえる。バックボーンも強力だ

【左】さくらインターネットが提供しているサービスでは、ストレージにSSDを選ぶユーザーが増えている 【右】導入するSSDを選ぶときの考え方

【左】さくらインターネットから見たSamsung SSDの印象 【右】もちろん検証作業も行ったうえで選定する。「最も遅い場合でもどれだけ速いか」を重要とする点は、データセンターならではの評価軸だろう。オフィス内のPCを含めて、個人で利用するPCのSSDだと、ランダムリード/ライト要求がひっきりなしに発生したり、SSDの記録領域がデータで埋まってしまうといった状況は、まずない。データセンターでは、SSDのパフォーマンスが最低レベルまで落ちるケースもあるというから、そこでどれだけの速度を保てるかは、ユーザーの満足度という意味でも大切だ

さくらインターネットによるSamsung SSDの性能評価。新しい世代で確実に性能が向上し、ラインナップ的な違いもしっかり見て取れる