ビットアイル・エクイニクスは2月23日、今後の経営体制と事業戦略・事業展開に関する説明会を開催した。

昨年9月に、ビットアイルは米エクイニクスによる公開買い付けを受け、12月に完全子会社化した。今年から「ビットアイル・エクイニクス」に社名を変更し、事業展開を行っている。

今回の説明会では、ビットアイル・エクイニクス 代表取締役 兼 エクイニクス・ジャパン 代表取締役の古田敬氏とビットアイル・エクイニクス 取締役社長の寺田航平氏から、今後の事業戦略について説明された。

キーワードは「クラウドエクスチェンジ」

エクイニクスは、ビットアイルの買収によって、現在東京で9カ所、大阪で2カ所のデータセンターを保有することとなった。1月にはヨーロッパのTelecityの買収も完了し、データセンター事業者としては「一つ頭が出た企業となった」と古田氏は述べた。同社はNASDAQに上場しており、古田氏によると、現在約2兆円の時価総額の企業となっているという。

ビットアイル・エクイニクス 代表取締役 兼 エクイニクス・ジャパン 代表取締役 古田敬氏

同社は現在、グローバルでは40カ国145拠点のデータセンターを保有しており、グローバルで展開しているエコシステムやグローバル全体における高可用性を強みとしている。古田氏は、同社のエコシステムについて、次のようにコメントした。

「多くのネットワーク事業者と提携することによって、データセンター利用の質と価値が高まる。例えば、新宿駅の価値は、建物が立派であることではなく、JRや地下鉄などが多く集まっているインターコネクションポイントであること。グローバルで展開し、かつインターコネクションポイントを全面的に打ち出している事業体は、エクイニクスだけではないだろうか」

また、古田氏は同社の戦略としている「Interconnect Oriented Architecture」について、次のように説明した。

「データセンターの中でクラウド・通信・コンテンツなど各事業者が相互に接続することで、ネットワーク化され、かつクラウド化されている環境に、最も適したIT環境をつくっていくことを、われわれはInterconnect Oriented Architectureと呼んでいる。エクイニクスでは、『Equinix Cloud Exchange』というスイッチを介して、Microsoft AzureやGoogle、AWS、SoftLayerなどの巨大グローバルクラウドと相互接続する環境を提供している。これは、エコシステムの中核にもなっている」

「Interconnect Oriented Architecture」の概要

ビットアイル・エクイニクス 取締役社長 寺田航平氏

一方、ビットアイルもこれまでクラウドエクスチェンジによるハイブリッドクラウド・マルチクラウド接続環境を提供しており、今回の統合によるメリットについて、寺田氏は次のように述べた。

「今回の統合により、AWSやGoogleのほかにもニフティなど、日米におけるさまざまなクラウドベンダーと相互接続できる環境を提供できるため、企業によってはコスト面とセキュリティ面で非常に有利な接続がグローバルで展開することができる。現在、グループ全体でクラウドサービスプロバイダ約450社の本拠地としてデータセンターを利用してもらっている。これが、われわれが相互接続環境を提供できる一番の大きな強みとなっている」

今後は両社の強みを伸ばして

今後、エクイニクスの各リージョンにおける戦略については、アメリカでは、新データセンタープロダクトである「Data Hub」の展開や、マイアミ・フォルタレーザでの「Cable Landing Station」との接続、ヨーロッパでは、Telecity買収により確立された新たな都市(ストックホルム・ダブリン・ヘルシンキ・マンチェスター)への参入、新市場への展開、アジアでは、北京・ソウル・ムンバイなどでの新規データセンター市場への参入が挙げられた。

ビットアイル・エクイニクスとしては、エクイニクスのグローバルなネットワーク集約型データセンターと、これまでビットアイルが培ってきたITサービスを融合させたソリューションを展開していくとしている。

寺田氏は「今後は日本において、エンタープライズの領域をどれだけ攻めていけるかどうかが最大の挑戦」とした。