反省と考察

そして打ち上げ当日、自動追尾システムによって撮影されたのが以下の動画だ。

自動追尾カメラの画像

結果は、半分成功で半分失敗といったところだ。打ち上げ直後のサーボ雲台の動きがややぎこちないものの、とりあえず順調に追尾を開始。が、ロケットが上空の雲に突っ込んだときに見失い、追尾できなくなってしまった。その後、再び追尾を開始しているのは、筆者が三脚の雲台を動かして、カメラをロケットの方角に向けたからだ。

このときの追尾プログラムの画面

自動追尾カメラを後ろから撮影したもの

じつはロケットが雲に入った場合、こうなることは事前に分かっていた。急にロケットの位置が変わったり、何かおかしな認識結果になった場合はそれを無視して、直前までの動きをトレースするようなことを考えていたのだが、残念ながらこの実装は間に合わなかった。それは次回の課題ということにしたい。

また、今回は事実上最初のトライであったため、そんなに長時間追尾できるとは考えていなかった。そのため、ロケットが右上に飛行するところまでしか対応しておらず、その後、右下に飛行する段階になると追尾できていない。ここまで見えるかどうかは天候次第で、かなり稀な機会ではあるものの、これも今後対応する必要があるだろう。

打ち上げから1分くらいは右上に上昇しているが…

その後、画面上では落下しているように見えてくる

プロでやっているようなエンジニアから見れば、この程度の画像認識は朝飯前であるだろうが、OpenCVのおかげで、筆者のような素人でも、こうした画像認識アプリが簡単に作れるようになったということは非常に大きいと思う。画像認識とアクチュエータの組み合わせは応用範囲が広いので、ぜひいろいろと試してみて欲しい。

ちなみに次回の打ち上げであるH-IIAロケット30号機でも、現地で再び自動追尾システムを試す予定だ。時間があれば前述の改良対応もやってみたいと思っているので、レポートをお待ちいただきたい。