説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『バックアップの復元で旧バージョンのiOSに戻せる?』という質問に答えます。

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残念ながら、バックアップを復元してもiOSを旧バージョンに戻すことはできません。バックアップには、アプリ本体や関連データ、システム関連の設定情報を含めることができますが、iOS本体は対象外です。バックアップを復元しても、iOS本体以外のアプリやデータが再び利用できるようになるに過ぎません。

iOSのアップデートは、不可逆的に実行されます。ベータ版など開発者向けのアップデートは例外的に以前のバージョンへ戻すことができますが、一般ユーザ向けにソフトウェアアップデートの形で配布されたものについては戻せない仕様です。たとえば、ソフトウェアアップデートでiOS 9にアップデートした場合、iOS 8やiOS 7に戻すことはできません。

つまり、バックアップを復元するとiOS本体のバージョンはそのままに、アプリや設定情報が以前のものに置き換わるわけです。バックアップの復元により、「これまで使ってきたiPhone」から「最新のiOSが動く別のiPhone」への移行をスムーズに進めることができます。

なお、逆はうまくいきません。たとえば、パソコン(iTunes)を利用して「iOS 9.2が動くiPhoneで作成したバックアップ」を少し古い「iOS 9.1が動くiPhone」で復元しようとすると、「このiPhoneのソフトウェアが古すぎるため……」というメッセージが現れ失敗します。この場合、「iOS 9.1が動くiPhone」をiOS 9.2より新しいバージョンのiOSにアップデートしたあとでなければ、バックアップを復元することはできません。

バックアップを作成した環境より古いバージョンのiOSが動くiPhoneには、バックアップを復元することができません