1963年に発売されたオリンパス「ペン F」は、世界初のハーフ判一眼レフとして高い人気を得た銘機だ。そのボディラインとシルエットを受け継いだミラーレスカメラ「OLYMPUS PEN-F」が登場した。新しい2,030万画素センサーの性能やプロファイルコントロール機能はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

「OLYMPUS PEN-F」。推定市場価格(税別)は本体のみが150,000円前後、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0が付属するレンズキットが210,000円前後だ

所有欲と撮影意欲を刺激するレトロデザイン

PEN-Fの実機を手にして、まず引き寄せられるのは、レトロな雰囲気が漂うメカニカルな外観デザインだ。高さを抑えた横長の金属ボディをベースにして、前面から側面、背面にかけてはシボ革調の素材をまとい、天面にはダイヤカットを施したアルミ製のダイヤル類を装備している。往年のカメラファンなら、フィルム時代のレンジファインダーカメラを連想する人も多いだろう。

外形寸法は幅124.8×高さ72.1×奥行き37.3mmで、電池とカードを含めた質量は約427g。既存モデル「PEN E-P5」と比べた場合、数値はやや増しているが、手にしたときのサイズ感や重量感はほとんど変わらない。ミラーレスカメラとしては中くらい。超小型とはいえないが、まずまずの携帯性はある。

ホールド感については、前面にグリップと呼べるような突起がない代わりに、背面・ユーザーの右手親指にあたる部分に凹みを設け、サムグリップのような役割を持たせている。レンズキットに付属する単焦点レンズなど小さなレンズ装着時はこのままでも特に不都合はないが、大きなレンズを使う際は、オプションの外付けグリップ「ECG-4」などを利用してホールドバランスを高めるといいだろう。

外装の素材は、トップカバーとフロントカバーがマグネシウムで、ボディ底面やダイヤルはアルミとなる

液晶の裏面にも革調素材を配置。レバーやダイヤル、ボタンなどは円形で統一されている

電源スイッチには巻き戻しクランク風のデザインを採用。シャッターボタンには昔ながらのケーブルレリーズが装着できる

外側からはビスが見えない構造に仕上げるなど、細部のデザインにも徹底したこだわりが見られる

装備面におけるE-P5との大きな違いは、内蔵フラッシュが省かれ、その代わりに電子ビューファインダー(EVF)を搭載したこと。フラッシュは「OM-D E-M5 Mark II」と同じく、小型の外付けフラッシュ「FL-LM3」が標準で付属する。

電子ビューファインダーには、倍率1.23倍・236万ドットの有機ELを搭載。十分な大きさと精細感があり、見やすさは良好だ。最近のOM-Dシリーズから継承したOVFシミュレーション機能によって、逆光時でも暗部を明るく表示できる点も便利に感じた。

いっぽう背面の液晶モニターは、3型・約104万ドットのバリアングル式。左右に最大約180度、上下に最大約270度まで回転し、ローアングルやハイアングル、自分撮りなどがスムーズに行える。閉じた状態から液晶を開く動作がやや固く感じられたが、こちらも視認性は高い。

小型の外付けフラッシュ「FL-LM3」を装着した状態。上方向や左右への首振りに対応し、バウンス撮影も行える

ファインダーと液晶の切り換えは、アイセンサーによる自動、またはボタンによる手動で行える

液晶モニターはタッチパネル付きのバリアングル式。タッチ操作で撮影や測距点の選択などが行える