ヤマハから登場した「NX-N500」は、ヤマハが満を持して投入した2ウェイ・バスレフ型のアクティブスピーカー。本稿では、NX-N500をニアフィールド環境で試聴したインプレッションをお届けする。
近年、「ニアフィールド」はオーディオを語る上で重要なキーワードだ。PCとつなぎデスクトップで、スマートフォンと組み合わせ自分の部屋で、近距離かつパーソナルなスピーカーリスニングはオーディオの楽しみ方の一つとなっている。
そこで注目される存在が「アクティブスピーカー」。アンプを内蔵するため、コンポのように場所をとらず、電源や機器間を接続するケーブルは必要最小限でいい。ファイルやストリーミング再生が主流の現在、ディスク再生機は必須ではない。それを小型エンクロージャにまとめることができれば、ニアフィールド再生に適した1台となる。
NX-N500はニアフィールドと言うにはやや大ぶりだが、凝縮感が強い。肉厚のMDF材を使用したパネルは、ヤマハ伝統の「三方留め構造」で組まれている。DACを搭載する左ユニットは6.2kg(右側は5.7kg)と重量級だ。
背面を見れば、ヤマハの本気度がわかる。左右両ユニットには専用のパワーアンプと電源を搭載、DACを積む左ユニットの出力をXLRバランスケーブルで右ユニットへアナログ伝送するしくみなのだ。しかも、高域用と低域用2基のアナログパワーアンプが直接3cmドーム型ツイーターと13cmコーン型ウーファーを駆動する。バイアンプ構成であり、ユニット間の相互干渉を排除することが狙いだ。電源コードが左右独立していることも、チャンネルセパレーションへのこだわりが見てとれる。
13cmウーファーには、ヤマハ製ピュアオーディオ用スピーカーと共通の素材「New A-PMD振動板」を採用した |
NX-N500の左ユニット背面。上部に配置されたバスレフダクトにより、迫力がありつつも自然な低域を実現する |
入力回路にも妥協がない。ESSテクノロジー社製のDAC「SABRE 32(ES9010K2M)」とXMOS社製USBオーディオプロセッサーを採用。DSD 5.6MHzネイティブおよびPCM 384kHz/32bit再生に対応する。ES9010K2Mは電流出力を行うタイプのDACであり、電流・電圧変換回路は別パーツに分離している。このような手の込んだ設計にも、NX-N500という製品に対する意気込みを感じずにはいられない。