DragonBoardでの操作感は、予想以上に軽快だ。国際化/日本語対応のパッケージは標準装備されていないようで、UIやシステムメッセージは英語となるが、HDMI経由で液晶テレビに出力した1,920×1,080ドット(フルHD)の画面描画はじゅうぶんスムーズ。Wi-Fiアクセスポイントへの接続も、画面下のインジケータをクリックすれば開始できる。日本語フォントが収録されていないこともあり、標準装備のWebブラウザ(「web」という名称のWebKitベースのもの)では日本語サイトを表示できないが、動作そのものはストレスフルと言っていい水準だ。

microSDカードからブートすると、eMMCに書き込むためのインストーラが起動する

eMMCに書き込みが完了したあとディップスイッチを元に戻し、再起動するとUbuntuが起動する

SSHサービスはデフォルトで有効なため、特に設定を変更することなくリモートログインできる。Windowであれば「RLogin」などのオンラインソフト、Macであれば標準装備の「Terminal」からsshコマンドを実行すればいいだろう。ただし、カーネルモジュール(wcn36xx)の設定に難があるのか、発信が途絶えると数分後には通信休止状態に陥ってしまい、ときどきDragonBoard側からpingを打つ必要があった。省電力機能に関連した仕様だろうか、原因究明となんらかの対策が必要だ。

以降の作業は、基本的にリモートログインした状態で行った。キーボード/マウスでの直接作業もいいが、PCからリモートログインしたほうが、設置場所に融通が利くシングルボードコンピュータの利点を生かせる。前述した通信途絶の問題はあるものの(今回はやむなくpingを一定間隔で実行する対症療法で凌ぐことに)、テレビの入力切り替えやUSBキーボードを接続する手間が省け、日常作業用のMacでTerminalを起動すれば大概のことが足りる。

デスクトップマネージャ経由でログインするには、ユーザー名とパスワードに「linaro」を入力する

Lubuntuのデスクトップ環境「LXDE」。Windowsの「スタート」メニューを思わせるデザインだ

画面下のWi-FiアイコンをクリックしてSSIDを選択、パスワードを入力するだけでWi-Fiに接続できる

Lubuntuに付属するWebKitベースのブラウザ「web」。そのままでは日本語のページを表示できない