2012年のジャンプ、2015年のジャンプと、5,000万台以上のiPhone販売増は3年おきに実現した。もちろんこのサイクルにこだわる必要はないが、来年は3,000万台程度の販売増であっても、株主は納得してくれるのではないかと思う。
ただし、2019年とも言われているiPhoneビジネスの「次」の製品、電気自動車が本当にあるのだとすれば、2010年代後半で、早めにもう2段、3段のジャンプを果たしておくべきだろう。となると、やはり廉価版のiPhoneを作り、途上国向けに販売を推し進める戦略を現実化すべきではないか、と筆者は考えている。
ベンチマークになるのは、iPhoneではなく、最新となる第6世代iPod touchだ。2015年にリリースされたiPod touchには、iPhone 6と同じ64ビットA8プロセッサが搭載され、800万画素カメラを搭載、4インチのディスプレイも備えたアルミニウムボディのカラフルなデバイスだ。
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64ビットA8プロセッサを搭載した第6世代iPod touch。次のiPhoneの飛躍的な販売増に求められるのは、最新テクノロジーを駆使したiPhone 7より、iPod touchのような高性能・低価格の製品かも知れない |
音声通話機能は搭載されていないし、Touch IDや3D Touchといった最新のインターフェイスもサポートしない。しかしiPhoneよりも非常に薄く、iPhoneと同じアプリを快適に動作させるには充分の性能を備えている。
例えばここに、モバイル通信をサポートする通信モデルを入れ、受話用のスピーカーを画面上部に配置し、SIMフリーの16GBモデルをiPod touchと同じ199ドルで販売してはどうだろう。
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松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura