ピクセラは10月28日、都内で記者会見を開き、新規事業となる「AR/VR事業」について発表と説明を行った。ピクセラは画像処理を中心とする事業を行っており、古くは静止画処理、最近ではパソコン向け地デジ機器やデジタルビデオカメラの編集ソフトに強いことで知られている。市場の変化に合わせて、IoT事業、翻訳事業、AR/VR事業を拡大することを、今年(2015年)7月に発表していた。
VRコンテンツの作成・編集や配信を提供
今回の会見は、新規事業の中でも同社の既存技術と親和性が高い「AR/VR事業」に関する内容だ。ピクセラの森氏は、「来年あたりからAR/VR関連機器の市場が拡大し、2020年には世界で18兆円の市場になる」という調査結果を引用し、こうした市場に対応する映像ソリューションを提供すると述べた。
最近はベンチャー系の企業などが面白い入力デバイスを開発しているので、これを活用してスマートフォンやヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)に出力するアプリケーション、配信のためのコンテンツサーバー、そしてコンテンツ作成を支援するソフトウェアを作成する。
なお、AR(Augmented Reality)は「拡張現実」で、メガネ型デバイスなどを使い、現実の世界に付加的な情報を表示する概念だ。一方のVR(Virtual Reality)は「仮想現実」といわれ、やはりメガネ型デバイスなどに仮想空間を表示して、自分自身が仮想世界に入っていく体験をいう。
具体的には「パノラマVR配信システム」として、WebページからのリンクやパンフレットなどのQRコード読み取りによって、ユーザーをコンテンツサーバーへ誘導。そこで、VR HMDやスマートフォンで視聴するシステムを構築する。活用例としては、賃貸住宅の見た目を全天撮影して契約促進に結び付けたり、旅行雑誌やカタログのイメージ動画などを想定。2016年3月の提供開始を予定している。
![]() |
![]() |
【左】「面白い入力デバイス」から得られたソースを、出力デバイスへとつなぐためソフト、サーバーをピクセラが構築。【右】今回は全天撮影カメラに注目し、それをスマートフォンやVR HMDで再生するための編集ソフトと配信サーバーを構築 |
また、一般ユーザーのVR視聴経験が少ないことから、いくつかのコンテンツを収録した体験アプリを年内に配布する予定だ。スマートフォンにおける、Google CardboardやGear VRによる立体視提供も検討している。
コンテンツのサーバー提供だけでなく、パノラマVR映像をライブ配信するシステムも検討しており、音楽ライブやスポーツ、観光情報をライブ配信することを想定。さらには、高級オーディオ風のピクセラオリジナルブランドとなるパソコンも企画している。