富士通は6日、法人・個人向けPCブランド「LIFEBOOK」や「ESPRIMO」、スマートフォン・タブレットブランド「arrows」シリーズの新モデル発表会を開催。発表会では、富士通パーソナルビジネス本部本部長の竹田弘康執行役員ら関係者が登壇。新製品や同社のクラウドサービス「MyCloud」の新プランなどを説明した。
秋冬PC新製品はセキュリティ機能に注力
同日発表されたPC秋冬新製品は、デスクトップPC1シリーズ、ノートPC3シリーズの計4シリーズ4機種。9月24日に発表済みの2シリーズ4機種と合わせ、個人向けPC秋冬新製品は計6シリーズ8機種で展開する。
全機種でWindows 10を搭載し、このうち2機種で生体認証機能「Windows Hello」に対応。23型液晶一体型デスクトップPC「ESPRIMO WH77/W」では顔認証ログインが、13.3型ノートPC「LIFEBOOK SH90/W」では指紋認証ログインが行える。また、一部モデルでSkylakeこと第6世代Intel Core iを搭載した。
竹田氏は、同社の法人・個人向け秋冬新製品の特徴として、セキュリティ機能を強く強調した。ICT機器が普及していく中で、「いかにセキュリティの脅威に備えていくかが課題」になっていくとし、この"セキュリティ管理"という課題に対応する製品が、今回発表された秋冬新製品群となる。
個人向けPC製品に関しては、「安心・安全」に加え、「簡単」に取り扱えることもコンセプトに付け加える。秋冬製品のセキュリティ面の特徴として、「マカフィー リブセーフ」3年版を標準搭載するほか、新機能「ワンタッチプライバシー」に言及した。同機能は、他の人に見られたくないファイルやフォルダを画面上のみから消す機能。ドラッグ&ドロップで一時的に画面上からデータを隠すことができ、必要に応じて再度表示を復活させられる機能で、PCの貸し出しや、共用スペースでの覗き見などの利用用途を想定する。
また、ハイエンドモデルでは、生体認証機能を搭載することもアピールした。「ESPRIMO WH77/W」での顔認証ログイン、「LIFEBOOK SH90/W」での指紋認証ログインは、いずれもWindowds 10の生体認証機能「Windows Hello」に対応したもので、「簡単にログインできる」と、セキュリティ性と手軽さを兼ね備える製品と紹介した。
このほか、15.6型ノートPCの最上位モデル「LIFEBOOK AH77/W」では、「とにかく速い」にこだわったとし、Skylakeこと第6世代Intel Core iやDDR4メモリの搭載といった性能面に加え、ハイレゾ対応スピーカーの搭載、3段階で押下圧を調整したキーボードの搭載など、使いやすさも強調した。
同社製PCと連携するクラウドサービス「MyCloud」も、秋冬モデルでは大幅にリニューアル。従来の「ベーシック」「あんしんプラス」の2コースに加え、PCのほかタブレットやスマートフォンといったIT機器のサポート、住まいのトラブルや生活を支援する「あんしんスタンダード」「あんしんワイド」の2コースを、月額制の「MyCloud プレミアム」内に新設する。
「あんしんスタンダード」では、1年間無料の電話サポートに加え、専門スタッフが自宅でPC活用を支援する「PC 家庭教師」内サービス「IT チャレンジ」の割引や、PC訪問診断サービスの1年間無料利用などが含まれる。また、「あんしんワイド」では、スマートフォンやタブレットなどIT機器のトラブルを電話で解決する「スマホタブレットアドバイザー」の無料利用や、住まいのトライブルなどを訪問して解決する「住まいのトラブル・お困りごと駆け付けサービス」使い放題などを提供する。
竹田氏は「MyCloud」に関し、「町の近くの電気屋さんのような感じ。お声をかけていただければ困りごとを解決する」と説明した。
文教向けタブレットは「特に成長が見込める市場」
同社は3年前から文教市場向けタブレットを展開している。全国の自治体数約1,800の中で、2012年度での同社タブレット導入自治体は約80だったが、2015年度では約370(2015年7月30日時点)へと拡大している。
今回、秋冬新製品として登場した文教向けタブレット新製品「ARROWS Tab Q506/ME」は、「机が小さく端末が落ちやすい」「校外学習で水や埃がかかる」「ペンやカメラを使いやすく」といった、教育現場の声を徹底的に取り入れて開発した製品という。
特徴としては、書いたポイントとペン先のずれを従来機の約1/6に低減した点や、ペンの追従性を従来機の2倍に高速化した点、紙の書き心地に近づけた点など。また、背面にテクスチャ素材を採用し落としにくい工夫を施したほか、体育館での撮影など、300ルクス程度の暗い場所でも綺麗な写真が撮影できるよう、学習向けにシャッタースピードを従来機の約1/10に高速化している。
発表会は文教向け製品に注力している印象だったが、竹田氏によると「とりわけ文教のみに力を注いで製品を開発している、というものではない」とする。
「文部科学省では2020年までに1人1台の情報端末による教育を行う方針で、2017年ころからタブレット端末が文教市場に普及していくだろう。現在タブレットを導入している学校では、学年の1クラスのみの導入などで、"1人1台"の普及には遠い。文教向けタブレット製品は、特に成長が見込める市場として製品を投入していく」と語った。
一方で、個人向けPC製品については、セキュリティ機能のほか、「プリインストールソフトにこだわった」とする。デスクトップPC「ESPRIMO WH77/W」には、サイバーリンク社の動画・写真編集ソフト「PowerDirector 13 Ultra」や「PhotoDirector 6 Ultra」といった製品が初期搭載されているが、これは「スマートフォンやタブレットではできない、PCのみで行えるもの」とし、例えば写真撮影を趣味とする50代~60代の男性など、PCに高いスペックを求めるユーザー層をターゲットとしている。「今回の個人向けPCの製品群も、PCならではの機能を求めるユーザーに向けたラインナップになっている。そういった層に訴求したい」と新製品のラインナップを紹介した。