ユーザーが”二次創作”できる音楽

次の要素として、聴くだけでなく、ユーザー側で遊ぶ余地があるということも、同作のサウンドが親しまれている大きな要素と言えると思います。先述の通りメロディが1本だけなので曲の芯を維持しやすく、他のサウンドを大きく変化させても、元の曲がわかります。

例えば、原曲に色々とアレンジが加えられたものが、ニコニコ動画などに投稿されています。ダブステップにしたり。ボサノバっぽくしたりなど、他の音楽ジャンルへ変えてみたり、あるいは劇伴風にしてみたり。(「劇伴風」のアレンジは僕が作ったものなのですが、ちょっと紹介させてください。)


バトルBGMはバンドの曲なので、「コピーバンド」の要領でバンドを組んで演奏したものもあります。


加えて、歌の部分は「イカ語」と言われる、人間では理解できない歌詞なのですが、聴き取れないため空耳で無理やり歌詞をつける、といった"遊び"も発生しています。特に有名なのはメインテーマ「Splattack!」のサビが「二枚貝~♪」に聴こえるというものですね。

ゲームの世界と地続きになった音作り

そのほか、最初に曲のつくりをお話した際に少し触れましたが、BGMの世界観が作りこまれていることも、人気を集める要素として挙げられます。

例えば、メインテーマ「Splattack!」の演奏をしているのは、イカの若者に人気の4人編成の架空のバンド「Squid Squad」。ビジュアルも用意されています。バトルのBGMは、「Squid Squad」をはじめとした、色々なバンドの楽曲が使われているという設定です。

「Squid Squad」(c)2015 Nintendo

「ABXY」(c)2015 Nintendo

「Hightide Era」(c)2015 Nintendo

バトルのBGMはバンドサウンドである一方、1人でプレイする「ヒーローモード」のほうはデジタルなサウンドで、「タコ陣営が放送している曲」という設定があったりと、一つひとつの曲を掘り下げて楽しむことができます。