NECパーソナルコンピュータは28日、「LAVIE秋冬モデル発売記念イベント」を開催した。同社は15日に同社製PC「LAVIE」の2015年秋冬モデル、7シリーズ45機種を発表しているが、今回の発表会は秋冬PCの新機能やコンセプトを訴求する場となる。

冒頭、同社代表取締役執行役員の留目真伸社長が挨拶し、まず「1/3/10/45」という数字を披露。これはコンシューマーPC市場で同社がNo.「1」シェアを占めている事、現在同社が進めているD「3」(Digital Dramatic Days)コンセプトと、Windows「10」をプリインストールした「45」モデルを2015年秋冬モデルとして投入したという意味だ。

NECパーソナルコンピュータ 代表取締役執行役員社長の留目真伸氏

今回のイベントのポイントとなる数字1、3、10、45

世界的にもPCの伸びが低い中、NECパーソナルコンピュータはコンシューマー市場でNo.1シェアを維持。シェアを右肩上がりで伸ばしている(同社提供の店店頭実売データ)

ユーザーエクスペリエンスを高めるD3こと「Digital Dramatic Days」。今回ステージの横にもこの表記がある

D3をさらに推し進めるのが新しいWindows10だ。「LAVIE」秋冬モデルはWindows10を全機種にプレインストールしている

ということで、2015年秋冬商戦を45モデル体制で推し進める

日本MS平野社長「早い時期からパートナーシップ」

ゲストとして日本マイクロソフト 代表執行役社長の平野拓也氏も登場した。平野氏は、Microsoft社は今年40周年を迎えるが、早い時期から前身であるNECとのパートナーシップを結んでおり、緊密な関係であると強調。

NECパーソナルコンピュータはWindows 8の頃から2-in-1やタブレット製品を発売するなど、積極的な商品展開、先進的なマインドを持ち、これがユーザーに評価されることで高いシェアに結びついているとする。今回の製品群でも3Dカメラを使った顔認証のWindows HelloやSkylake(第6世代Core iプロセッサ)と先進の技術が使われており、日々のユーザーエクスペリエンスを高めていると確信しているという。

日本マイクロソフトは、最新Office「Office 2016」の機能紹介を兼ねた発表会を29日に予定している。平野氏は「(今日は自身がゲストとして呼ばれているが)明日は新しいOfficeのプレスイベントを開くので、留目社長をお招きしてOffice 2016のローンチを行いたい」とコメントした。

ガッチリと固い握手を交わすNEパーソナルコンピュータの留目氏(左)と日本マイクロソフトの平野氏(右)

平野氏が最近頻繁に使うのが、サティア・ナデラ体制に伴うコーポレートミッションの変化を表したこのスライド。NEとは古くから協力関係にある

秋冬のLAVIE」はすべてWindows10。機種によってはWindows10の新機能(生体認証など)をサポートしている

今年は日本マイクロソフトにとってOSとOfficeが新しくなる重要な年。明日は新Officeイベントに留目氏も登壇とのこと

体験を訴求する「コト売り」へシフト

次に現れたのが、NECパーソナルコンピュータ 商品企画本部 D3総合プロデューサーの森部浩至氏。以前のパーソナルコンピュータ(PC)は機能・価格・用途で訴求を行う「モノ売り」であったが、今はユーザーシナリオに即した体験を訴求する「コト売り」へと変化しており、D3(Digital Dramatic Days)はその中核をなしているという。氏は3本のショートムービーを使い、6年前のPCと最新のPCでの体験の差を紹介した。

ちなみに、同社は2015年1月、それまでデスクトップPCブランドであった「VALUESTAR」を廃し「LaVie」(現在はLAVIE)にブランドを統一した頃から、新たな時代のデジタルライフソリューションを提供する"Digital Dramatic Days"を提案している。

NECパーソナルコンピュータ 商品企画本部 D3総合プロデューサーの森部浩至氏

PCの従来の販売スタイル。古くはスペックと価格、その後音楽(スピーカー)やテレビ視聴など用途を訴求していた

秋冬モデルはユーザーシナリオに即し、高いユーザーエクスペリエンスを実現。その中核にあるのがD3という位置づけだ。そして、3つのシナリオを紹介した

一つ目がサラリーマンの朝。6年前のPCと比べて起動時間は1/4の15秒。素早い起動を生かして朝の情報収集もPCで行う

そこで活躍するのが世間の話題と興味からニュースをピックアップする「My Time Line」

従来は据え置き型PCで動画を見るため、個人での視聴となるが、今のPCなら持ち運びが自由なだけでなく、動画は大画面のテレビで複数人でも無理なく視聴できる

従来は使わないときは電源を切るというスタイルだったのが、常時ONで状況の変化も素早くフォロー可能だ

情報を常に見る事ができるホームサイネージアプリ「インフォボード」。待ち受け画面に天気やニュース、カレンダー等を表示する

Windows 10から採用された新ブラウザ「Edge」のウリはメモ機能。そこでペン対応PC4モデルを投入

秋冬PCは45モデル体制でユーザーエクスペリエンスの向上を目指す

松本愛さん、Windows Helloを試す

ゲストとして、同社の15.6型ホームモバイルPC「Frista」のデモムービーに起用された、モデルの松本愛さんが登場。留目氏とのトークショーを開催した。松本さんはSNSの利用が多く、基本的にはスマートフォンを利用しているが、長い文章を打ち込む場合は不便であり、また画面が狭いという不満を持っているという。

モデルの松本さんと留目氏によるトークセッション。Fristaのデモムービーに登場した経緯から、松本さんはFristaを持参しての登場

Windows Helloの顔認証を体験する松本さん。パスワードよりも素早くログインできる

これに対し留目氏は「Frista」ならば奥行きがコンパクトで置き場所に困らず、情報表示アプリ「インフォボード」を"ながら見"スタイルで楽しめ、キーボード付きで長文入力にも向いていると説明。また、今回3Dカメラを搭載した機種では、Windows Helloによる簡単ログインが行えること、すでに松本さんの顔を登録済みで、松本さん本人はログインできるが、写真ではログインできないことを紹介した。

最後に留目氏がD3の次の取り組みを紹介。マルチデバイス時代に向けて「リビングルーム」と「外出先」とをよりシームレスに連携したいとし、今後もユーザーシナリオの拡充を行うことを表明。

また、D3コンセプトとLAVIEの紹介のためにイベントの協賛や実店舗「LAVIE Shop」の開設、そして他の方々とシナリオを共有して新たなモノを作り上げる共創プロジェクトを企画していることを紹介し、今後も日本人にあった新しいデジタルライフに尽力したいと今後のLAVIEの方向性を示した。

3Dカメラを使うWindows Helloは写真でのログインが不可。ということで留目氏が松本さんの写真(左)をかざすものの、当然ながらログインできず(右)

D3の次は多くのデバイスと協業してさらにユーザーエクスペリエンスを高める事。次はリビングと外出先をテーマに考えているという

D3の認知度を上げるためにイベントや体験可能なスペース、そして他の団体との協創を企画しているという

松本愛さん(左)と留目社長(右)。手にしているのは15.6型の「Frista」スタンダードモデルだ