ここしばらくの間、インターネット上にはWindows 10 Insider Preview ビルド10537や、ビルド10540のスクリーンショット、ISOイメージファイルが合い続いてリークされていた。想見するにOEMパートナー向けにMicrosoftが提供したものを何らかの手法で入手し、インターネット上に公開したと思われるが、これはCB(Current Branch)のアップデートが近いことの裏返しでもある。

そんな中Microsoftは、2015年9月18日(現地時間)にWindows 10 Insider Preview ビルド10547をFastリング向けリリースした。公式ブログによれば、スタートメニューやタブレットモードを改善し、多数の標準アプリケーションを更新したという。今回もビルド10532と比較しながら、ビルド10547の新機能を精査していく。

2015年9月18日にリリースしたWindows 10 Insider Preview ビルド10537

それでは順番に、ビルド10547に加わった新機能を確認しよう。1つめはスタートメニューの改善だ。Windows 10のスタートメニューに用意されたタイルグリッドは中サイズが3カラム(小サイズなら6カラム)並んでいるが、多くのアプリケーションをピン留めする場合、表示領域が足りないという問題が発生していた。

もちろんスクロールさせれば済む話とだが、MicrosoftのGabriel Aul氏は「スタートメニューの表示領域拡大を求めるフィードバックを多数受け取った」と公式ブログで述べているように、より中サイズのタイル表示数を3カラムから4カラムに増やしている。

「設定」の「パーソナル設定\スタート」に「Show more tiles」という項目が新たに加わった

「Show more tiles」がオフの状態。以前と同じく3カラムとなる

「Show more tiles」をオンにすると、3カラムから4カラムに増える

具体的には「設定」の「パーソナル設定\スタート」に「Show more tiles」という項目を追加し、カラム数を変更するようだ。さらに表示可能なタイル数を512アイテムから2048アイテムまで拡張している。また、タイルに対するコンテキストメニューも整理し、ビルド10532では上位レベルに並んでいたライブタイル機能の有無などを<More>なるサブメニューに移動させた。

タイルのコンテキストメニュー構成も変化し、<評価レビュー>など新たな項目も加わった

<共有とレビュー>は「ストア」でユニバーサルWindowsアプリのページを開いてユーザーに評価をうながし、<共有>もストアが起動するが、「お探しのものはここにはありません」というメッセージとエラーコードが示されるのみに留まる。これらのことから、今後新たな機能がストアに加わるのだろう。

ただし、1,080×1,920ピクセルのディスプレイを縦方向にローテートしている場合、スタートメニューを横方向に拡大できず、さらに表示領域が狭まってしまうため、注意が必要だ。

タブレットモードもわずかながら変更が加わった。ビルド10532は3つめのアプリケーションを起動する際はそのまま全画面表示として起動していたが、ビルド10547ではサムネイル状態で起動し、Aul氏の言葉を借りれば"シーソーのように"各フィルに対して動き出す。そしてタップした時点で一方のアプリケーションが置き換わる仕組みだ。

アプリをスナップ・フィルした状態で新たなアプリケーションを起動すると、サムネイルがシーソーのように動作する。これはタブレットモード限定の動作だ

Aul氏の説明によれば、標準ユニバーサルWindowsアプリも更新されたという。こちらはビルド10547限定ではなく、ビルド10532でもダウンロード可能だが、「メール」や「カレンダー」は背景画像が変化し、新たなカスタマイズ機能が加わった。「フォト」の<フォルダー>もOneDriveを正しく表示するようになるなど、細かい改良を確認できる。ただし、「マップ」に関しては未だ及第点に達していない。

自動更新されない場合は<ダウンロードと更新>から<更新プログラムのチェック>ボタンを押す

以前の「フォト」と異なり、OneDriveフォルダーのアイコンを変更し、パスが取り除かれている

「メール」や「カレンダー」の「設定」に加わった「個人用設定」。配色や背景画像が変更可能にしている

前述のとおり新たな機能は「設定」と連動しており、ビルド10532とビルド10547を比較すると、いくつかの変更点を確認できた。前述したタブレットモード時のスナップ動作は「システム\マルチタスク」の<When I resize snapped window simultaneously resize any adjacent snapped window>と連動しているが、気になるのは「パーソナル設定\スタート」と「パーソナル設定\ロック画面」だ。前者はプレビュー画面が加わったことも変更点に数えられるが、<ときどきスタート画面におすすめを表示する>が加わり、後者は<ロック画面にトリビアやヒントなどの情報を表示する>が加わっている。

新たな設定項目を追加し、Windows 10 Proでもリコメンド機能が使用可能になった

ドロップダウンリストの項目に「Windowsスポットライト」が復活した。こちらを選択すると<ロック画面にトリビアやヒントなどの情報を表示する>が消える

そもそも無償アップグレード開始以前のWindows 10 Insider Previewでは、ロック画面の画像をランダムに切り替え、ユニバーサルWindowsアプリのリコメンドやWindows 10の新機能を紹介する「Windowsスポットライト」という機能が用意されていた。しかし、無償アップグレード直前にProエディションからは同機能が取り除かれ、Homeエディションに限定している。

日本マイクロソフトの関係者に理由を尋ねたところ、ビジネスユーザーに対しては不評だったという本社の考えがあったという。だが、各設定項目や上図をご覧になるとお分かりのようにWindows 10 ProでもWindowsスポットライトが使用可能になった。筆者は個人的にロック画面画像のランダム切り替えは有用な機能と評価していただけに、今回の改善を大きく歓迎したい。

Windowsスポットライトを有効にした状態。リコメンド機能は確認できていないが、画像に対するアクションは可能だった

この他にも「パーソナル設定\ロック画面」に加わった<Show Windows background picture on he sign-in screen>で、サインイン画面の背景画像を無効可能になり、「デバイス\USB」には<Notify me if there are any issues with the USB devices connected to my PC>が加わっている。意訳すると「PCに接続したUSBデバイスに問題が発生した場合は通知する」というものだが、動作が確認できなかったため分かり次第改めてご報告したい。

なお、Aul氏の説明によればスタートメニュー周りの安定性向上や、アクションセンターに新たな通知がなくとも点灯してしまう問題、Realtekオーディオデバイスに起因するトラブルなどを改善している。この他にも多くのバグが残っているため、やはり常用OSにするのは不安が残るところだが、着実に前進していることを感じられるビルドだった。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・短期集中連載 Windows 10 Insider Previewを試す(第30回) - 「Cortanaさん」を1週間試してみた
http://news.mynavi.jp/articles/2015/09/04/windows10/
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