会場には、フランスの世界的なピアニストであるパスカル・ロジェ氏が登場。ドビュッシーの「月の光」「水の反映」、プーランクのピアノ小品などを演奏した。演奏後にピアノの感触を聞かれたロジェ氏は「本物のピアノと同じタッチで弾けることに驚いた。市販の電子ピアノの弱点はタッチの感触にあると認識しているが、この新製品はハンマーなどに工夫があり、そういった弱点を克服している。素晴らしい体験をすることができた」と笑顔に。

世界的なピアニスト、パスカル・ロジェ氏が生演奏を披露。プロにもアマチュアにもおすすめできると太鼓判を押した

続けて、「ピアノの生徒には、生の楽器に触れて欲しいと常々思っていた。でもCELVIANO Grand Hybridは電子ピアノでありながら、本物のピアノと同じタッチ、ダイナミクス、共鳴を感じることができる」と感想を述べ、プロでもアマチュアでも納得して楽しめるはずと述べた。

最後の質疑応答では、当然のように「なぜカシオとベヒシュタインが?」という質問。

カシオがベヒシュタイン社に話を持ち込んだいきさつについて、カシオの中村氏は「ベヒシュタイン社は、世界三大ピアノメーカーのひとつ。19世紀に設立された歴史ある会社で、アコースティックの響きを極めておられる。しかもその一方で、サイレントに演奏できるようなデジタル技術の開発も進めていた。こうした柔軟性を持つメーカーなので、カシオのコンセプトもきっと理解いただけるのではないか、と期待していた」と回答。

開発のエピソードについて聞かれると、ベヒシュタイン社のアルブレヒト氏は「ベヒシュタインのサウンドがデジタルに取り込まれたらどんな音がするのだろう、という興味から出発した。スタートからすんなりいったわけではなく、長い話し合いを経た。最初に出てきた"音"には正直満足しなかったが、カシオの技術者による素晴らしいフォローもあり、最終的に納得のいく音に仕上がった」と満足気に回答していた。

質疑応答で記者団に回答する、(左から)ベヒシュタイン社のラルフ・デヴォー氏、ヴェルナー・アルブレヒト氏、カシオ計算機の安藤仁氏、中村寛氏

新製品のターゲット層について、カシオの中村氏は「初心者はもちろん、専門的にピアノを習っている方もターゲットにしている。世界中のプレイヤーに、グランドピアノを気軽に弾ける環境を提供したい」と回答している。

実勢価格(税別)は、最上位モデルのGP-500BPが36万円、GP-300BKが27万円、AP-700BKが17万円前後を想定する。発売日はGP-500BPが10月2日、GP-300BKおよびAP-700BKが9月18日になる予定。3モデルとも国内外で一斉に発売する。年間生産台数は3モデル合計で計20,000台となる見込みだ。