NTTドコモの「おらのタブレット」は、高齢者向けの"見守りソリューション"として6月1日より全国の自治体や法人向けに提供を開始した。ただ、このソリューションはもともと、NTTドコモの長野支店の法人営業部が企画・提案したもので、天龍村は1月から20台の導入を始めている。

おらのタブレット。天龍村では富士通の「ARROWS Tab」を導入しているが、「おらのタブレット」の機能は基本的にAndroidのホームアプリとして作りこまれているため、ほかのAndroidタブレットでも動作するという

企画がスタートした理由はやはり「長寿高齢化社会」。長野県は、天龍村のような"限界集落"を抱える自治体が多い。限界集落とは、いわゆる過疎化した集落のことで、天龍村でも集落によっては1世帯、2世帯しか近隣に存在しない場所もあるという。そうした場所は、車の運転ができなくなった、見動きがとれないお年寄り自身はもとより、そのサポートを行う自治体にとっても大きな負担となる。最近まで元気であっても体調が急変する可能性のある高齢者は定常的な健康把握が重要で、自治体の保健師や民生委員なども家々を回って健康状態の把握に務めるが、そうした自治体では人手が足りず、一度に回る回数にも限界が生じてしまう。

そこで、登場したのが「タブレット端末」だ。iPadの登場以来、その存在は多くのことを我々に気づかせてくれた。IT先進層のようにバリバリ情報収集に励み、クリエイティブをタブレット端末だけで使いこなす人から、児童、学生らの教育分野、そして一般ビジネス層のプレゼンテーションといった提案営業ツールとしての活用まで、その活用シーンは幅広い。ノートPCだけでは成し得なかった使い勝手は、もはや語る必要もないだろう。

タブレット端末の最大のメリットは、その簡便な操作性にある。タッチパネルでほぼすべての操作がこなせるため、キーボードと画面で視線を行ったり来たりする必要もなく、押さなくてはいけないボタンもすべてタッチパネル上にあることから、幼児から高齢者までわかりやすいインタフェースとして、その存在は揺るぎないように思われる。

ケチを付けるわけではないが、その一方で「打感がない」という理由でタッチパネルが、いわゆる生産年齢層以外には不向きという声もある。こうした層については、NTTドコモの「らくらくスマホ」のように、ある程度しっかり画面をタッチしないと認識せず、タッチが反応した際には細かいバイブレーションが震えるといった技術改良も行われているため、「ハードウェアボタンでなくてはダメ」という時代は近い将来終わるだろう。

ただ、これまでのタブレットにはほかにも弱点があった。それは肝心のアプリの「インタフェース」だ。