販売方式の変化がリスクに

次期iPhoneでも、引き続きこうした情勢が続くと思われるが、好調な3つの市場である米国、日本、中国では不透明な部分がある。

まず、日米に共通するのは、iPhoneの販売方式に関する変化が予測される点だ。

iPadのように、デバイス上から通信キャリアを自由に選べるApple SIMがiPhoneに搭載されるかどうかはまだ不透明だ。ただ、もしApple SIMが搭載された場合、ユーザーはお得なプランが登場したらすぐにキャリアを乗り換えられる。

iPadではApple SIMで柔軟なキャリア選びが可能

米国での販売方式の変化

そうした環境整備も通信キャリアが進めているように感じられる。

米国最大手のVerizonは、iPhoneの2年契約を前提とした割引をやめ、日本と同じような月額料金と合わせた分割払いのプランへ移行していくものとみられる。

VerizonはiPhoneの2年契約を前提とし、例えばiPhone 6 16GBモデルを199ドルで販売してきた。同じiPhone 6のSIMフリーモデルは649ドルであることから、店頭価格で450ドルの割引を行ってきた。途中解約には「Early Termination Fee」として、割引分を契約期間に応じて減額した金額が請求された。

Verizonは端末の割引販売をやめ、日本と同様に、通信費とあわせて、端末代の分割払いをしていく仕組みとなった。そして、契約のいわゆる「2年縛り」も撤廃された。これは、T-Mobileが先駆けて導入してきたモデルだ。

一方、元々、割引販売をしてこなかった業界4位のT-Mobileが、Sprintを追い抜いて3位に上がるほどの好調さを見せており、これは、デバイスの割引が必ずしもキャリア選択を左右するわけではなくなってきたことを意味している。

キャリアが割引販売をしなければ、SIMフリーモデル主体の販売に移行することも考えられ、顧客が負担する端末コストは上がるものの、Apple SIMを搭載したモデルに一本化できるようになる。この結果として、キャリア間の競争は、プランと月額料金の純粋なものに移行するのではないだろうか。

割引なしの販売方式を取り入れてきたT-Mobileを見ると、端末価格の上昇や2年縛りの契約を、上手く回避する仕組みを作り出している。月額の固定料金を払い続けるリース契約に、1年に3回まで同じ価格帯の最新スマートフォンに取り替えられる仕組みを取り入れた。そのため、デバイスの初期コストの負担がかからないようにする工夫が見られる。