スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は『MIL規格』についてです。

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MIL規格は、米軍が調達する物資の規格/評価ガイドラインです。その対象は武器や大型運搬機、腕時計やスマートフォンなどの精密機器/電子機器、被服やアクセサリ類まで多岐にわたります。極端な気温の上下やほこりの多い場所など、過酷な条件下での使用に耐えうる製品であることの裏付けとなります。

その規格番号は「MIL-○○○-△△△□」という形式で命名されます。「○○○」の部分には標準を意味する「STD」、仕様を意味する「SPEC」などが入れられ、「△△△」の部分には規格番号、「□」の部分にはリビジョンがアルファベットで入れられます。「MIL-STD-810G」を例にすると、米軍標準810号の第7版ということがわかります。

スマートフォンや小型電子機器に関係するMIL規格としては、耐環境性試験の規格であるMIL-STD-810、MIL-STD-188(電気通信)、MIL-STD-202(電子部品)などがあります。そのうちMIL-STD-810には、低高温環境での動作や許容範囲、湿度や水分/塩分に対する耐久力を測定するための基準とテスト方法が示されています。

たとえば、京セラが2015年2月に発表したAndroid端末「DIGNO U」は、耐衝撃/耐振動/防湿/温度耐久/塩水耐久など複数のテストをクリアし、MIL-STD-810G準拠の製品として販売されています。そのうち耐衝撃性については、テスト方法(516.6:Shock-ProcedureIV)を示したうえで、製品を1.22mの高さから合板に26方向で落下させたことが明らかにされています。

定められたテストのすべてをクリアする必要はなく、取得した認証についてテストの手順と結果を示せば足ります。MIL規格の詳細は、国防総省標準化プログラムのWEBサイト(下記)から参照できます。

MIL-STD-810G準拠の耐衝撃性能を備えるAndroid端末「DIGNO U」