この2月には「食べログ」など5サービスが新たに参加、8月中旬にもアイスタイルのサロン情報サービス「ispot」が参加し、全21サービス、のべ月間アクティブユーザー数(MAU)は1億人を超える。なお、延べ人数による1億人のため、かなりの重複があることは留意してほしい。

Syn.の回遊は、主に「Syn.menu」と呼ばれる各アプリのサイドメニューによるユーザーのアプリ間移動によって行われてきた。もちろん、こうしたユーザーがどのように行動しているかという情報はトラッキングしており、どのアプリからどのアプリへの遷移が多いのかといった分析を行っている。

森岡氏は、「Syn.の曼荼羅(マンダラ)」と呼ぶ、アプリ間の移動を可視化したグラフでユーザーの行動パターンを説明。例えばビジネスマンの場合、ジョルテのカレンダーアプリから天気アプリへ、天気アプリから男性の場合には交通情報、女性の場合には占いアプリといった導線で、アプリ間を多く移動したことがわかったという。

もちろん、ユーザーの属性によっても利用方法は大きく変わっており、主婦層はクーポンからファッション情報、若年層はゲームからブックマークといった、それぞれのアプリベンダーだけではわからない細かいユーザーのニーズ、動きがSyn.として読めるようになったと森岡氏は語る。

こうした動きがわかるようになったメリットがある一方で、こうしたアプリ間の回遊数は具体的に公表されておらず、一例として挙げられていたカレンダーからの天気情報以外の導線の細さ(=あまり活発な動きが見られていない)という点ではうまく回っているのかが読みづらい部分もある。

この回遊数の現状について森岡氏は、「公表しないようにしている」としており、それに加えて「予想が大きすぎて(目標に)到達していない部分もある」と話す。ただ、この回答には一つの理由があるのだという。

「こうした多様なサービス間の連携は前例がないもので、予想がつきにくく、出してみないとわからないところがあった。サービス間の移動の一部が目標に届かなかったというだけで、もちろん目標を超えているところもある(※AアプリからBアプリの移動は予想超え、BアプリからCアプリは予想未達といった具合)。

目標に到達しなかった個々の部分は知見を活かしてアジャスト(最適化)したり、かなり研究している。重要な事は、ラーニングをいかに次の取り組みに繋げていくかということ」(森岡氏)

ただ、Syn.の狙いはこのアプリ間移動だけではない。各サービスの個別の機能間連携も行っており、すでにゲームギフトとジョルテ、NAVITIMEとジョルテが連携している。今回、記者説明会の裏で行われていたアイディアソンは、こうしたサービス間連携を行う上で必要なサービス事業者同士のチームワークを深める目的で行われた。これ以外にも、アライアンス参加各社の代表で話し合う「Syn.協議会」や、サービス間連携の具体的な新たな運用などについて話し合う「Syn.分科会」を開催している。

分科会の成果としては、「花火企画」がある。各サービス単体の花火大会に関するコンテンツを小出しにするのではなく、ランディングページを用意して各社のサービスに沿った花火コンテンツを持ち寄ることで、ユーザーの多様な花火に関する情報のニーズを拾おうという取り組みで、「意外と成功している状況」(森岡氏)としていた。

同日行われたSyn.alliance内のアイディアソン。審査員には"ビリギャル"のモデルとなった小林 さやかさん、Webサービス「ボケて」などで有名な和田 裕介氏と森岡氏が参加した