もちろん、コンテンツ間連携といったアナログな取り組みだけでなく、Syn.として自動化されたシステムの構築も目指す。その一端が近年ビッグデータ活用などの説明で頻出ワードとして出てくる「DMP」の「Syn.DMP」であり、「Syn.Extention」だ。

DMPはデータマネジメントプラットフォームの略だが、ビッグデータのログの一元管理、分析を行うことで、広告配信などに有効に使おうという仕組みだ。一般的にDMPというキーワードは、アドテクの文脈で語られるケースが多いが、Syn.では、アライアンス参加各社のサービス情報を集約し、別サービスへの情報配信などに応用する。

nanapiが提供する「アンサー」という対話型の""即レスコミュニティ"アプリがこのコアに位置するのだが、森岡氏によると、このアンサーは着実にユーザー数が伸びているとのこと。

「アンサーは人気(ひとけ)のあるサービスで、自分が相談したいことなどを投稿することで、ほかのユーザーがどんどん返してくれる。ネット買いでもかなりインパクトがある数字になりつつあるけど、まだ数字は出せない(笑)。

アンサーがいいところは、チャット風UI。このUIは主流になりつつあるが、これに加えて『キーワード検索』から『キュレーション』という潮流の変わり目もある。つまり、自分で検索するのではなく、何か知りたいことがあったら、人に調べてもらう、人が教えてくれるようになる『C2C検索』の新しい検索が出てくるんじゃないかと。もちろん、人が答えるだけじゃなく、ボットが返す形もある。ボットが回答する場合には、精度を高めてピンポイントな情報提供が必要。そこでDMPが必要になる。

今までのDMPは解像度が荒いものだったけど、より鮮明なテレビで言う『8K』を目指すイメージのSyn.DMPになる。それぞれの業界に特化した21サービスのうち、何社が乗ってくれるかわからないけど、多くの質の高いコンテンツがDMPに集約されることで、日本にほとんど存在しないDMPになるんじゃないかと思う。母体(KDDI)にも近づけながら、日本一のDMPを作る。これを次の新たな価値、新たなデータドリブンに活用する」(森岡氏)

また、この"高付加価値"を提供できるDMPを上手く運用する仕組みである「Syn.Extention」も公表した森岡氏だが、これについては詳細を非公開という形にした。これは「DMPを活用して関連しあう記事や機能をコンテンツマッチさせる基盤の構築」とのことだが、恐らくSyn.DMPでマネジメントしているコンテンツをそれぞれのアプリやサービス内に上手く"溶けこませる"仕組みと思われる。Syn.menuがサイドメニューで、アプリのある種の"付属物"であったのに対し、アプリ・サービスのメインエリアにアライアンス内の他コンテンツが紛れ込むといったイメージだろうか。

「ネイティブアドとは違うが、まだ言いにくい部分のものを作っていこうとしている」(森岡氏)