逆に、やらない方がいいこと

藤川氏:裏返して、日本・東京という場所で、やらない方がいいこと、むしろほかの国でやった方がいいことってありますか?

石川氏:日本では伝統的に、栄養・運動・休養が健康の3本柱と捉えられてきましたが、これは世界各国共通かというと、そうではありません。例えば、イタリア人に健康によいことをたずねると「恋」と答えます(笑)。スペイン人なら昼寝、北欧なら日光浴、など、価値観が全く異なります。

予防医学は文化を超えた普遍的なものと、独自のもの、両方を見つけていく学問です。グローバルな共通点とローカル性を行ったり来たりしながら、健康に大事な要因を見つけていくことが重要だと思っています。

森川氏:私はLINE時代にいろいろな国とビジネスを行ってきましたが、アジアは消費が進んでしまっています。例えば、日本人はモノを買わなくなっています。ただ、知識はたまっています。この蓄積された知識を全てまとめてノウハウとして伝えられると、世界的にいい影響を与えられるのではないでしょうか。

FiNC 代表取締役CEO 溝口勇児氏

溝口氏:皆さん、フィリピンの平均年齢って知っていますか? 23歳なんです。フィリピンなどアジアは平均年齢が低いです。日本だと、年齢層が広いため、階層が多くなります。

階層が多く、いろいろな価値観を抱えているところは、よいものも悪いものも、伝わりにくい傾向があります。例えば、デバイスが挙げられます。日本人だと、PC用のサービスから、モバイルだとiOSやAndroidにも対応させるなど、さまざまなデバイスへ対応させますが、フィリピンだと、Macなんて使われていません。ダイレクトにスマホが浸透しています。

先進国でサービスをやろうと思うと、モバイルは気を付けないと乗り遅れるなと感じています。まずは、正しい日本のエビデンスベースの健康サービスを、日本のブランドが通用する場所で、正しく普及させ、成功させて日本へ持ってくると、おもしろいなと思います。