まもなくDDR4のプラットフォームが立ち上がる、という時期ではあるが、それにしてはいまいち盛り上がりに欠ける感じだったのが今回のCOMPUTEXの展示。それでもいくつか目に付く製品があったので紹介したい。
サーバーマーケットではいうまでもなく、すでにHaswellベースのXeon E5/E7 v3がDDR4に対応(というか、DDR4を必要)としており、ハイエンドのXeon E7 v3はともかく2P向けのXeon E5 v3で、DDR4は広く使われるから、ここに向けたマーケットは確実に存在している。
その一方で、Desktop/Mobile向けは当面DDR4-2133のみとなるだろう。これはSkylakeがDDR3とDDR4の両対応という過渡期向けソリューションとなり、DDR4のみになるのは次のCannonlake(旧コード名Skymont)からである。それもあって、そもそも速度もあまりあがらない。もちろんメモリメーカーはオーバークロック動作のDDR4を用意はしているが、これらを使いきれるほどにSkylakeが動作周波数を挙げられるかも現段階では謎である。
Desktop/Mobile向けはともかく、サーバ向けに関しては、COMPUTEXに出展するメーカーの中で製品を扱っているところはそう多くない。何しろSAMSUNG/SK Hynix/Micron(というか、Corsair)といったメモリチップメーカーは不参加だし、サーバー向け製品でそれなりのシェアを握っているメモリモジュールメーカーもそれほど出展していないからだ。
とは言え、サーバー向けに全然製品がないということもない。Transcendは実際のサーバーに装着、動作検証を行っていることをアピールした(Photo01~03)。
Apacerはデスクトップ向けOverclockのDDR4モジュール(Photo04,05)以外にも普通にDDR4の考えられるモジュール構成を全部壁に貼って展示した(Photo06,07)が、それに加えて、NVIDIMM(Photo08)とかCombo SDIMM(Photo09)まで展示する辺りがさすがApacerと言うべきか。
同じくV-ColorもDesktop向けにOverclock Memory(Photo10~12)を展示したが、それとは別に、やはりサーバー向けに検証済メモリーをボードに装着する形でサーバー向けラインナップを示した(Photo13~16)。SuperTalentもまた、サーバー用途向けの製品を展示していた(Photo17~20)。
Photo13,14:TR16G36CA15-TF(DDR4-2133 16GB R-DIMM)。Xeon E5-2600 V3プラットフォーム向け。1G×4bitのオリジナルICを利用しているそうである |
Photo15,16:TR32G36CA15-TF(DDR4-2133 32GB R-DIMM)。やはりXeon E5-2600 V3プラットフォーム向け。2G×4bitのオリジナルICを利用しているそうである |
ただし、サーバー向けのラインナップを用意したのはこの程度。あとはもっぱら標準品とオーバークロックメモリばかりで、TEAM GroupのElite(Photo21)とかDark(Photo22) Sreries、GOODRAMのIndium Ultimate(Photo23)とIndium Pro(Photo24)、SBiTの標準品(Photo25)が目に付いた程度で、まだ展示している製品の大半はDDR3であった。
このあたりはPC向けがメインとなる台湾のメモリベンダーは、少なくとも2015年の段階でSkylakeに関連するメモリ需要は期待していないということかもしれない。本格的に立ち上がるのは2016年以降と見込んでいるように感じられた。
ところでこれとは別に、SuperMicroのブースでは同社のSYS-2028U-E1CNRtT+(Photo26)という2Uのブレードサーバーが展示されていたのだが、これに搭載されていたDIMMはSamsungの3DS DDR4 DIMMであった(Photo27)。
3DSとは何か?というのは3D Stackingの略で、TSVを使ってメモリチップを積層することでDIMMに搭載できるメモリ容量を増やせる仕組み。DDR4チップの記憶密度が上がる気配が無い一方、サーバー用途にはより大きなメモリ容量が必要とされ、苦肉の策としてJEDECが標準化した技法だ。しかし、TSVが高くつくこともあってなかなか普及の兆しを見せていない。Samsungだけは2014年8月に、このDDR4 3DSモジュールの量産開始をアナウンスしていたのだが、今回初めてお目にかかった。
ちなみにあまり質問されるのはいやだったのか? 3日目まではサーバーシャーシの中が見えていたのに対し、4日目にはシャーシの蓋が閉められており、Photo28のブローシャだけが展示されていたのはなんともはや。そういう意味では3日目に撮影できて幸運であった。