次に、新しい「企業ロゴ」を作成するにあたり、さまざまなアイデアを出したという。例えば、新社名の頭文字である"B"や"BE"を図形にしたらどうなるか、または"beauty experience"をそのまま形にしたらどうか、あるいは美の象徴とも言える"花"や"輝き"をモチーフにしてみてはどうかといったアイデアを出したが、今後のグローバルな展開も見据えて、漢字の"美"という文字をモチーフにすることに決めたという。

新社名の頭文字「B」および「BE」をモチーフにしたロゴ候補

"美"の象徴でもある「花」や「輝き」をモチーフにしたロゴ候補

ブランドカラーにはユニークな"紫"を採用し、プロジェクトの始動から約1年半かけて新社名とロゴが決定したということだ。佐藤氏は「会社が生まれかわって次に何をしていくのかということが、そのまま社名となり、そのままロゴになるという、すべてが一体化されたこのやり方は、コーポレート・アイデンティティとして新しい方法だと思う」と述べた。シンプルでわかりやすいことがスピード感につながっているという。

"美"という文字をモチーフにデザインすることが決定したあとも、文字とのバランスやカラーなどを念入りに選考したという

正式に採用されたロゴ

また、今回のプロジェクトでは、同社のコンセプトの中でもキーワードとなっている「体験」のひとつとして、映像と音楽とのコラボレーションにも挑戦したという。佐藤氏の表現したイメージから生まれた同社のブランドコンセプトをもとに、ASOBISYSTEM(アソビシステム)が映像を制作。サウンド制作にはPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅ等のプロデュースを手がける、音楽プロデューサーの中田ヤスタカ氏が担当するなど、2人のトップクリエイターによる夢のコラボが実現している。

イメージ映像のサウンド制作を担当した中田ヤスタカ氏(CAPSULE)

佐藤氏は「今後グローバルに展開していくには、イメージで伝えることがコミュニケーションには非常に大切」だと述べ、「せっかくアソビシステムさんと仕事をするなら、(同社に所属する)今の日本の新しいポップカルチャーを率いる中田さんとコラボレーションできないかと、僕のほうからオファーを出しました」と明かした。中田ヤスタカ氏には、今回のプロジェクトの経緯を説明した上で、イメージが花や光、記号などの断片であることを伝え、それをもとにしたサウンドが出来上がったということだ。完成した楽曲を聴いたとき、「中田さんらしいような、らしくないような、とても新しい印象を受けた」と述べ、「新しい会社のサウンドをデザインするのは良いことだと思う」と語った。ちなみに、このイメージ映像は、ビューティーエクスペリエンスのWebサイトで視聴できる。

イメージ映像は、Webサイトで視聴できる

最後に今回手がけたプロジェクトに関して、佐藤氏は「ミッションを練り直すということは非常に重要な作業で、今回の社名変更はタイミングとしては良かったと思っている」と述べ、「社名を変えるというのは企業にとっては一大事。これから長く使うものなのだから、一週間では決められない。最も大切なことは何かということをずっと考察した結果、1年半という長い期間を要した」と語るとともに、福井氏には「日本を代表する新しいビューティーカンパニーとして、新しい美の文化をグローバルに展開していくことを期待しています」とエールを送り、壇上をあとにした。

佐藤氏は福井氏にエールを送り、ガッチリ握手

なお、会場の隣に設けられていたブースでは、トークセッションのあと発表された同社の新製品「ロレッタ デビル(Loretta DEVIL)ブラックヘアケアシリーズ」や「Honeyce'(ハニーチェ)スタイリングシリーズ」などを、実際に製品を手に取ったり試したりできる体験型のブースが用意されていた。スタッフはそれぞれのブランドイメージに合わせた衣装を身にまとい、まるでアミューズメントパークに遊びに来たかのような気分で、同社の製品について知ることができた。

ブランドイメージに合わせた衣装を身につけたスタッフと一緒に気になる商品を体験できるブースを用意