ちょうど1年前のWWDC 2014でiOS 8の新機能として発表されると噂されていた「iPadの画面を分割して2つのアプリを同時表示する機能」が、今年6月8日に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されるWWDC 2015において、やはり噂の12インチクラスiPadとともに発表されるのではないかと騒がれている。9 to 5 Macが5月21日(米国時間)に報じている

9 to 5 Macが関係者の話として伝えるところによれば、12インチクラスの新型iPadは「J98」「J99」の開発コード名で呼ばれ、WWDC 2015のタイミングにも発表される可能性があるという。大画面iPadの噂は昨年2014年夏頃から出始めており、同年末の時点で「春ごろ」との話が出た後、最終的に「2015年後半にリリース」という話がサプライヤ筋から伝えられている。Appleが考えるこの大画面iPadの位置付けは、従来の9.7インチや7.9インチのiPadのそれとは異なるものになると予想される。

まず2015年後半でのリリースを報じたWSJによれば、大画面iPadではUSB 3.xクラスの高速ポートをさらに追加するなど、可搬性よりも据え置きやPC的な用途での利用を想定している様子がうかがえる。これには2つの意味があり、複数のUSBポート内蔵で給電と同時に複数の周辺機器やドッキングステーションの利用が可能になるということ、そして「Lightningポートの排除」という可能性も示唆している。現行のiPadではLightningポートしか搭載しておらず、もしこれを「USB-C」のような規格で置き換えるようになれば大きなトピックだ。またスタイラスのオプションが用意されるという話もあり、手軽な操作性というよりも、教育や業務、イラストレーターなど、よりプロフェッショナルな用途での場面にも活路を見出しているといえる。

このほかiOSの新版では2つのアプリの1画面同時表示機能をサポートし、ちょうどWindows 8/8.1におけるModern UIアプリのような形で1つの画面を2つに分割して、それぞれの"枠"でアプリが個別動作するようだ。

この分割表示モードは噂の12インチクラスiPadだけでなく、既存のiPadでも利用可能で、画面分割モードも50:50の1/2モードのほか、1/3と2/3といった具合に比率を変更可能だという。別々のアプリの同時表示に加え、例えばMobile SafariのようなWebブラウザで2つの異なるページを同時分割表示させたりと、同一アプリの共存も可能だとしている。

こうした仕組みも前述「プロフェッショナル用途」や「大画面の活用」を前提としたもので、シンプルさをうたっていたiOSが変革期に差し掛かりつつあるともいえる。これと合わせ、12インチクラスのiPadでは「従来モデルから解像度が変更される」可能性も考えられる。iOS 8とiPhone 6/6 Plusでは従来とは異なる解像度体系が導入され、これをスケーリング機能によりアプリが自然な形で吸収できるようにした。これまで1024×768のノーマルサイズと4倍解像度のRetinaの2種類しかなかったiPadにおいても、iPhone 6と同様の変化が起こる可能性がある。

もう1つ、新iOSにおけるiPad向けの新機能としてマルチユーザーログインの導入も検討されているようだ。これは複数のユーザーが1つのタブレットを共有利用することを想定したもので、例えば12インチクラスiPadのように比較的大型画面の端末をリビングなどに配置して、家族内で使い回すといったことも容易になるとみられる。大画面iPadの登場は、iOSとApple製タブレットのPC化をよりいっそう推し進める役割を果たすのかもしれない。

なお9 to 5 Macによれば、これら機能はまだ計画途上にあり、WWDCのタイミングまでに導入が中止される可能性があることも示唆している。