世界戦略を加速させるためのエネルギーとなる国内市場はどうだったのか。そのことも触れておこう。

2015年度3月期は、売上高が8兆6,702億2,100万円、営業利益が9,827億300万円、EBITDAが2兆1,329億200万円だったことで、通期予想は達成。主力の移動通信事業も、売上高が4兆1,895万1,300万円と拡大。利益は6,952億8,700万円に達し、順調だ。

各指標は順調に推移

携帯ネットワークのインフラ整備も進んで「コンスタントに日本で一番繋がるネットワークを構築できた」と孫社長は強調。平均スループットも「他社を上回る」(孫社長)としており、継続した成長が可能と判断。

携帯事業の利益は拡大。ワイモバイルは「スマホの新規獲得数」という指標で好調をアピール

ネットワークは他社を上回ると強調する

さらに、ネットワーク改善によって「設備投資は一巡した」(同)。ピーク時は7,000億円を超えていたが、今年から来年は3,900億円規模に縮小。これによってフリーキャッシュフローを拡大させていく。

設備投資を削減し、フリーキャッシュフローの拡大に繋げる

国内通信事業を任された宮内氏は、安定運営を継続するとともに経営の効率化も図り、継続して手元資金を創出するのが役割と言っていいだろう。米スプリント買収にともなう借入金の返却に充てるほか、今後の孫社長の戦略の原資ともなる。

国内事業は宮内氏に一任

苦戦が続く米スプリントだが、もともと孫社長が描いていたのは上位2社に対抗するために3位と4位を合併させて攻勢をしかける、というものだった。ところが、T-Mobile買収が頓挫したことで、単独での事業を継続するしかなくなり、苦境に立たされた。それでも、新CEOにマルセロ・クラウレ氏を迎えて立て直しを図り、「明るい兆しも見えてきた」と孫社長は話す。

通期では純減ながら、四半期ベースでは純増に転じた。解約率も低下しているという