ついにアップルイチオシの新製品「Apple Watch」の出荷が開始。筆者の元にも発売日の朝届けられた。まずはファースト・インプレッションをお届けしよう。

4月24日の朝、届けられたApple Watch。今回購入したのは「一番人気」と言われたApple Watch SportのSpace Gray 42mmモデルだ。発表当時から決めていたこのモデルで初志貫徹。実は試着でWatchモデルとの質感の違いにかなり惹かれてしまったのだが、「海のものとも山のものともつかぬ」(失礼)今回の新製品、しかも毎年アップデートされる可能性があるものにiPhoneと同じ金額は出せないなぁということで、とにかくまずは買って触ってみるさという感じだ。

とにかくデカい箱と同梱品

Sportモデルの箱は、なぜかとてもデカい。写真のようにとにかく横長でしかも重い。最初届けられたときは何が入ってるの? と思ったほど。しかし開けてみるとiPhoneよりもデカい箱の中に伸びた状態のまま収まっていた。

ただただデカくて重い箱。iPhoneより大きくて重いので一体何が入ってるのかと思った

同梱されているのはiPhoneのものと同じ充電器と充電ケーブル。充電ケーブルの先端部分はプラスチック製で他のモデルと差別化がされているようだ。そしていつものように簡単なタリフとSサイズの替えバンドも入っている。重いのはiPadなどの充電器と同じ素材っぽいケースで、Apple Watchそのものは重くない。ステッカーが入っていないのはやはり残念だ。

同梱品一覧。ケースがとにかく重い。そしてタリフにはアクティベート方法などは何も書かれておらず、簡単な使い方のみ

ケース内に伸びた状態で入っているApple Watch。文字盤面にカバーがかかっている

案外時間がかかるセットアップ

さてApple Watchは単体では動作せず、iPhoneと同期を取る必要がある。iOSをバージョンアップしていればホーム画面にApple Watchアプリが表示されているのでこれを起動して「ペアリングを開始」をタップ。

Apple Watch側を起動するとまずペアリングをするように表示される

iOSをバージョンアップしたときに追加された「Apple Watch」アプリをとうとう起動するときが来ました!

するとiPhoneのカメラをApple Watchに向けるように言われるので、文字盤をカメラで表示しているとペアリングが完了。そこからiPhoneを使って初期設定を行う。

「ペアリングを開始」を押すとカメラを通した画面になり、真ん中の窓にApple Watchの盤面に表示されるパターンを読み込んでペアリングが完了する

着ける腕やApple IDの入力を行い、使うアプリをインストール(これはあとでもできる)すれば準備は完了。Apple Watchは時計の文字盤画面になり、Apple Watchアプリは各種設定画面になる。ただiPhoneだけでできない部分もあって、どの処理をどちらでするのかが分かりにくいのはいただけない。設定はすべてiPhone側から行うようにすれば、表示の大きさなども含めて良かったんじゃないかという気がする。

表示に従って進んで行くと各種設定が行われ、設定が完了する。アプリのインストールまで含めると結構時間がかかる感じ。結局使用開始まで10分程度は必要だった

最初の表示はモジュラー表示になっている。デジタルクラウンをクリックしてアプリを表示すると、選択したアプリもインストールされている

Apple WatchアプリとApple Watch内で別々にある各種設定。そもそもiPhoneと一緒に使うのだから、iPhone側にまとめてしまって良かったのではないだろうか

違和感のない「時計」

初期設定が完了したらいよいよ腕に着けてみる。まず感じるのは思っていたよりも小さくて軽いということ。筆者は長年G-SHOCKを愛用していたこともあり、それに比べるとApple Watchはホントに小さくて軽い。スマートウォッチに感じる「違和感」は、デカくて厚くて重いという点だったのだが、少なくともそんな違和感はなく普通に時計だ。そしてフルオロエラストマーのバンドはG-SHOCKのゴムよりも優しい感じ。ただやはり穴の位置が決まっているので、4つにするとちょっとキツいけど3つだとゆるゆるになってしまう。

42mmでもBluetooth接続ができるG-SHOCKと並べてみると案外小さいことが分かる。Gを使っている人、使ったことがある人なら違和感なく利用出来るはずだ

腕を上げ、文字盤を自分の方向に捻ると自動的に文字盤が表示される。文字盤の種類はいろいろあるが、背景に写真を選べなくなっているのは残念なところ。聞くところではバッテリーの消耗が激しくなるので機能を外されたという。壁紙マニアな筆者としては文字盤カスタマイズが楽しみだっただけにとても残念だ。今後に期待したい。

アプリ呼出画面のアイコンはやはり少し小さく、指の太い人だとミスタッチしそう。文字盤画面を下から上にスワイプするとグランス設定したアプリが表示され、横向きにスワイプして切り替えられるようになるのでこちらの方が使いやすい。また上から下へのスワイプすると通知が表示される。

ちなみに文字盤の画面キャプチャーは2つのボタンをクリックするとiPhoneの写真に転送されても保存される。

文字盤のカスタマイズは画面を強く押すと反応する。もっと細かくカスタマイズできるかと思ったが、デザインによって表示できない情報などもあるのはちょっと残念

文字盤を上から下にスワイプすると通知を表示

文字盤を下から上にスワイプすると、Apple Watchアプリで「グランス」をチェックしているアプリが表示される。切り替えは左右にスワイプ。このへんはiPhoneを使っているとわかりやすいUIだ

画面上に赤い点が表示されていると通知があるというサイン。四角に斜め線のときはiPhoneとの通信ができてないというサイン。通信が切れやすいという噂があったが、実際はiPhoneと四六時中繋がってないといけないわけではないのでそこまで気にならない。

赤い点がついていると未読の通知があるというサイン。iPhoneとの通信が切れているとiPhoneに斜線が表示される。通信が切れていても情報が更新されないだけなのでそこまで気にはならない

通知の振動は気付かないことも多い。座って仕事をしながら使っていると音と共によくわかるのだが、歩いていると特に気付かない。そして着けたまま作業をしてると、1時間毎に「立ち上がって動きましょう」と怒られる。これはアクティビティにある「スタンドリマインダー」がオンになっているため。外せば通知はこなくなるが、健康のためにはそのままにしておきたいところ。

Apple Watchの[設定]-[サウンドと振動]に「わかりやすい振動」という設定もあるのだが、歩いているときにはやはりよくわからない

「立ち上がって動こう」という表示は1時間に1回。これを切りたい場合にはiPhone側のApple Watchアプリから設定を変更する。こういう設定の統一感のなさが、まだまだこなれてない印象を与える

処理能力は決して高くない。例えば地図表示では、iPhoneが現在位置を確認して地図情報をApple Watchに送ってくるが、表示までのタイムラグがある。それならポケットに入っているiPhoneを取り出した方が早い。未読メールも読もうとすると表示までちょっと待つようで、画面のスリープに入る方が早かったりする。これは決して気持ちよいとは言えない。

位置情報から地図が書き換わるときや通知から未読メールの内容を確認するときにちょっと待たされる。ポケットにiPhoneが入っているなら出して調べた方が早いのでは意味がない

もうひとつ、ずっと言われているバッテリーの件は、実は思っていたよりも保つ。もちろん使い方によると思うが、少なくとも通知を確認するのをメインに、あとはアクティビティを記録する程度であれば1日は十分に保つだろう。寝る前に外して充電、朝起きて着けるという使い方なら不自由はないはずだ。……もっとも時計として、1日保てば十分なのかと言われればそれはまた違う問題だと思うが。

まだまだこれからの製品

とりあえず数日触ってみての最初の感想は、Apple Watchは「まだまだこれからの製品」だと思う。質感は決して悪くない。しかしいろいろな部分がまだ煮詰められてない気がする。例えばUIや前述の設定画面の統一、決して高くない処理能力。バッテリーも想像していたよりも保つとは言え、やはり数日に1回の充電で良いくらいにはなって欲しい。ガジェットとしては面白いと思うが、すべてのiPhoneユーザーに勧められるかといえばまだその域には達していないというのが本音だ。

ただiPhoneも3Gは今考えてみればまだまだ不安定だったし、安定したのは3世代目からということを見れば、Apple Watchも3世代目あたりでようやく完成すると考えた方がいいのかもしれない。

そしてもうひとつはApple Watchをフルに活用できるキラーアプリの登場。日本ではApple Payが使えないのがイタイところだが、もしコンビニでの支払いや電車の乗り降りが手首でできるようになるならそれは便利だろう。他にも何かコレ! というものが登場すれば、一気に普及は進む可能性もある。

それらの登場を待ちつつ、もう少し暖かい目で見守ってやりたい。当分は左腕に着けて便利な利用方などを模索してみたいと思う。