図1 PowerDVD 15 Ultraパッケージ版

DVD再生だけでなく、各種マルチメディアコンテンツの再生を行うPowerDVDの新バージョンとなる「PowerDVD 15」がリリースされた。本稿では、発表会の内容や新機能の一部を紹介したい。

PpwerDVDの製品ラインナップ

まずは、製品ラインナップと価格(税抜)を紹介しよう。

■表1 PowerDVD 15の製品ラインナップと価格(税抜)
ダウンロード版(4月14日より販売開始)
PowerDVD 15 Ultra 10,926円
PowerDVD 15 Ultraアップグレード版(Ver13/14から) 9,074円
PowerDVD 15 Pro 8,796円
PowerDVD 15 Proアップグレード版(Ver13/14から) 6,250円
PowerDVD 15 Standard 4,444円
パッケージ版(4月17日より販売開始)
PowerDVD 15 Ultra 12,000円
PowerDVD 15 Ultra乗換え・アップグレード版 10,000円
PowerDVD 15 Ultraアカデミック版 8,500円
PowerDVD 15 Pro 9,240円
PowerDVD 15 Pro 乗換え・アップグレード版 6,750円
PowerDVD 15 Standard 4,750円

また、これら以外にサブスクリプション購入可能なLiveエディションもある。今回は、パッケージ版でもStandardエディションが追加された。それ以外は大きな変更はない。各エディションの違いは、Ultraエディションは、すべての機能が含まれる。そこから、H.265、3D再生機能などを除いたエディションがProエディションとなる。Standardエディションは、さらにBlu-rayの再生機能を削除、CyberLinkクラウド(20GB)が付属しない。詳細はCyberLinkの製品ページを参照してほしい。

一般的な利用を考えると、Ultraエディション以外は、選択肢となることは少ないだろう(DVDメディアの再生だけというのも、機能的にもったいない)。それ以上に注目したいのは、乗換え・アップグレード版である。すべてのCyberLinkパッケージ製品が対象となる。これには、OEM製品付属のCyberLinkソフトウェアも含まれるので、お持ちの方も多いであろう。乗換えは他社製品となるが、ソースネクストPowerDVD Expert、動画再生ソフトウェア(コーレルWinDVD、アークソフトDigital TrueTheaterなど)が対象となる。

システム要求は、基本的にWindows Vista以降の各OSが快適に動作する環境であれば問題ないだろう(詳細はこちらを参照)。動画再生にあたっては、CPUに関し以下のスペックが求められている。

  • 4K映像のハードウェアデコード:Intel第3世代Core i5以上(H.264/MP4形式、60Mbps以下で対応)
  • H.264/AVC:Intel第3世代Core i5以上(H.264/MP4形式、60Mbps以下で対応)
  • H.265/HEVC:Intel第4世代Core i5以上

図2 発表を行うCyberLinkの相蘇和貴氏

後述するが、GPUのハードウェアアクセラレーション機能を使うことで、前バージョンと比較すると、よりスムーズに再生を行うことができるようになった。

発表会のデモから

PowerDVD 15の発表会では、3台のマシンによってデモが行われていた。それらを紹介しよう。まずは、Ultra HD 4KでコーデックはH.265/HEVCの動画再生である。

図3 Ultra HD 4K、H.265/HEVCの動画再生

すでにさまざまな環境で使われることの多いH.265/HEVCであるが、高い圧縮率のトレードオフとして、それなりにCPU性能が求められる。そこで、H.265/HEVC動画の再生では、第4世代Intel Core CPU(Haswell Refresh)とNVIDIA製ビデオカード(Kepler)のハードウェア支援を技術を使用する。結果、PCの動作速度の低下による再生のカクツキなどを抑制し、スムーズな再生を行う。再生している最中のタスクマネージャを表示したものが、図4である。

図4 Ultra HD 4K、H.265/HEVCの再生中のCPU使用率

Intel Core i7 4770 CPUを使用している。再生開始時には、やや高いCPU使用率となっているが、再生中は13%程度になっている。これならば、カクツキなどが発生することはない。次のデモも4K動画の再生であるが、使用しているPCはIntelのNUCである。

図5 Intel NUC

デスクトップ機などと比較すると、かなり低スペックである。そして、このデモで注目したいのは、キュー・テックが近日のうちに発表する予定の4K主観評価用動画を使っている点だ。キュー・テックでは、各種ハイビジョン映像 システムの研究・開発、評価・調整用とした業務用主観評価ソフト、日本初のコンシューマ向けの「超高画質・超高音質ハイビジョンチェックディスク」などをリリースしている。その一部を今回のデモで使用した。

図6 キュー・テックの4K主観評価用動画を使ったデモ

ビットレートは120Mbps、かつ60pの動画である。実際に見た印象であるが、とにかく質感がリアルであった。和菓子の粉の1粒までがくっきり見えた。こちらのCPU使用率は、図6のようになった。

図7 CPU使用率

Core i3 3217 0.77GHzでありながら、8%しか使っていない。相蘇氏の発表でも、同じ動画を使ったデモが行われた。PowerDVD 15では問題なく再生されるが、フリーの再生ソフトやOS標準のMedia Playerでは、カクツキが発生したり、音声は再生されても動きがないような事例が紹介された。低スペックPCでも、PowerDVD 15の機能の高さを体感できるだろう(同じ動画ではないが、YouTubeに比較動画がある。https://youtu.be/_HlC8zNYZZU)。また、ハイパフォーマンスモードを併用することで、より快適さが増す。最後のデモ機は、ピュアオーディオクォリティのサポートである。

図8 ピュアオーディオクォリティ

PowerDVDでは、前バージョンですでにWASAPI排他モードに対応している。PowerDVD 15では新たにFLAC、mp3、WMAの3フォーマットに対応した。また、前バージョンではビットレートなどに上限があったが、その制限もなくなり、ビットパーフェクト出力に対応した。デモでは、ONKYOのDAC-1000が使われていた。

図9 D/Aコンバータ

実際に聴いてみた感想であるが、しっかり作られた真空管アンプの音を思い出した(年齢がばれてしまうが)。まさに「艶」(音色が豊か)という感じである。ハイレゾオーディオは、今後も普及も進むであろう。それらに対応するのもPowerDVD 15の特徴の1つといえるだろう。

その他の新機能

最後に、PowerDVD 15の新機能や強化ポイントを紹介して、レポートを終えたい。

  • TrueTheater Color
  • TrueTheaterのスマートスライダー
  • ハイフレームレート動画の再生
  • Blu-ray&DVD ISOイメージ再生
  • TrueTheater Sound
  • 音声抽出機能をサポート
  • シリーズ動画&レジューム
  • インターフェイスをパーソナライズ
  • サイバーリンククラウドを20GBに拡大

TrueTheaterテクノロジは、PowerDVDの人気の機能である。新機能のTrueTheater Soundでは、重低音、ボーカルレンジの増幅、エコー(リヴァーブ)で、より聞き取りやすい音声に調整する。映像用のTrueTheater HD、TrueTheater Stabilizer、TrueTheater Lightingなど従来通りである。PowerDVD 15では、TrueTheaterの調整方法でも変更が行われた。

図10 新しいTrueTheater設定画面

「スマート」タブが追加され、動画、音声それぞれの適用レベルを調整する。1つのパラメータしかないので、初心者にも簡単に調整を行うことができるだろう。「詳細設定」タブは、従来と同じ調整が可能である(こちらでも、TrueTheater Colorという項目が追加された)。

発表会冒頭の挨拶では、「プレーヤーでこれ以上、何をすることがあるのか? と尋ねられることがある。しかし、まだまだやることは残っている」と、自信をもって語っていた。その理由の1つは、ユーザーの要望につねに耳を傾けている姿勢にあると思う。

図11 ユーザーからの要望

ユーザーからの要求は終わることはない。したがって、それに応えることがつねに進化し続けることになる。そして、高画質で映像を楽しみたいというユーザーには、十分、満足するプレーヤとなっている。CyberLinkでは、体験版も提供しているので、興味を持ったのであれば、試してみていただきたい。