みなとみらい線中華街駅を降りると、通りは強風だった。風の竜が空を舞い、竜の尻尾が切り裂いた雲の間からは青空がのぞく。臨時休業の紙が張られた贔屓の料理屋を横目に見ながら路地を歩いて関帝廟通りへ。風の竜がいくら駆け回ろうと、関羽様もお咎めなし。参拝客の足を鈍らせる灰色の雨雲を蹴散らしてくれるのだから、むしろ歓迎なのだろう。それどころか、竜を呼んだのは関羽様かもしれない。

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算25mm 1/250秒 f10.0 ISO 100

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算75mm 1/600秒 f2.8 ISO 200

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算49mm 1/250秒 f8.0 ISO 100

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算25mm 1/640秒 f3.5 ISO 200

竜が廟を飾る提灯を撫でて揺らして行く。昼を過ぎて少しだけ色の付いた日差しが注いだ。その美しさに息を呑む。刹那、我に返って鞄からK-S2を取り出し、構える。跳ねるように揺れる提灯が太陽に重なる瞬間を狙ってシャッターを切った。

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算75mm 1/1000秒 f8.0 ISO 200

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算75mm 1/2000秒 f2.8 ISO 200

元町には、中華街とはまた異なる異国情緒が漂う。その立役者は間違いなく、ヨーロッパを思わせる石畳の道だ。実に豊かな凹凸が刻まれた石畳の道は、行き交う人々の影をたちまちドラマチックにしてしまう。影が手前に伸びるよう、ちょっと逆光気味に構図を決めてシャッターを切る。おっ、なかなかいいじゃないの。そう思ったらRAWボタンを押しておく。PENTAXの一眼レフは最後の1ショットをメモリにキャッシュしていて、次の写真を撮影したり電源を切ったりするまでは、JPEGモードで撮影した写真でもRAWデータを保存できるのだ。

ちなみに、K-S2ではRAW現像のパラメーターとして、新たに「明瞭強調」が加わった。これをオンにすると、わずかにコントラストが上がって全体が引き締まる。大判プリント用の作品などに使うと良さそうだ。

通りに面した二階の喫茶店に入る。カウンターの壁面には、さまざまな色形のコーヒーカップがずらり。その店は、焙煎珈琲の香りとたばこの煙の入り交じる、今ではすっかり稀少になってしまった昔ながらの喫茶店だ。先ほどのRAWデータをカメラ内現像しつつ、注文のブレンドが運ばれてくるのを待つ。モノクロで仕上げた逆光の石畳の写真は、まるで昔見たマグナム・フォトのようだ。などと書くのも我ながらおこがましいが、そう思えば窓辺のガレエ越しに見下ろす元町は、パリのモンマルトルにも見えてくる。

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算25mm 1/800秒 f8.0 ISO 200

SIGMA 17-50mm 1:2.8 EX DC HSM 換算75mm 1/100秒 f5.6 ISO 400

smc PENTAX-DA L 18-50mmF4-5.6 DC WR RE 換算27mm 1/60秒 f4.0 ISO 200