執筆時点(3月25日午前)で日本マイクロソフトによるアナウンスはないが、MicrosoftはWindows 10テクニカルプレビュー ビルド10041のISO形式ファイルを公開した。当初、MicrosoftのOSG(Operating Systems Group) Data and Fundamentalsチームでジェネラルマネージャーを勤めるGabriel Aul氏は「ISO(形式ファイル)を用意しない」と述べていたため、突然の方針転換と言えよう。「Windows 10 Technical Preview ISO March Update」という名称を持つビルド10041は、ビルド9926で低速リングを選択しているユーザーにも提供を始めている。今回もビルド9926と比較して改善・変更された箇所を中心に報告しよう。

サインイン直後にスタートメニューが現れる?

「Settings」の変更項目を紹介する前に1つTipsを紹介したい。読者の皆さんはWindows 10テクニカルプレビューを使っていて違和感を覚えたことはないだろうか。それはサインイン後に必ず現れるスタートメニューだ。なぜこのような仕様になったのか不明だが、改めてビルド9926を確認すると同じようにスタートメニューが現れる。このスタートメニューの表示を抑制するには、「タスクバーとスタートメニューのプロパティ」ダイアログの<ナビゲーション>タブに並ぶ<サインイン後にスタート画面を表示しない>をチェックすればよい。

サインイン時に現れるスタートメニュー。ロック解除やスリープから復帰する際は現れない

タスクバーの何もないところを右クリックし、メニューの<プロパティ>をクリック。「タスクバーとスタートメニューのプロパティ」ダイアログが起動したら、<ナビゲーション>タブ→<サインイン後にスタート画面を表示しない>→<OK>ボタンと順にクリックする

だが、複数のPCにWindows 10テクニカルプレビューをインストールすると、<サインイン後にスタート画面を表示しない>の設定がグレーアウトしているPC環境が存在することを確認した。いずれもビルド9926からビルド10041へとアップデートした新規環境のため、筆者のカスタマイズ操作による影響とは考えにくい。ただ、本現象が発生するのは主に仮想マシンのみであり、実機では確認できなかったことから、PCのスペックが影響を及ぼしている可能性もある。この辺りの動作は正式版リリース後に追ってご報告したい。

<サインイン後にスタート画面を表示しない>がグレーアウトし、設定を変更できないPC環境もあった

無線LAN APの削除機能が復活

それでは、「Settings」の設定項目を確認していこう。「ネットワークとインターネット」に並ぶ「Wi-Fi」には「SystemSettings.ViewModel.SettingEntry」という新項目が確認できる。こちらは日本語の言語パックもしくはLIP(Language Interface Pack)に対応する文字列を用意していないため、コードをそのまま表示しているにすぎないが、スイッチの動作を確認すると無線LANのオン/オフを切り替えるというものだった。

ビルド10041の「ネットワークとインターネット\Wi-Fi」。新たに無線LANをオン/オフするスイッチが加わった

こちらはビルド9926の同項目。改めて確認すると開発途上の雰囲気を残している

また、「Wi-Fi設定の管理」からは第17回で紹介したWi-Fiスポットに関する設定や、1度接続した無線LANアクセスポイントの削除を可能にしている。まだ、Windows 10テクニカルプレビューをモバイルデバイスにインストールして外出する機会がないものの、Windows 8.1における「既知のネットワークの管理」と同じ操作のため、多くの無線LANアクセスポイントに接続しているユーザーなら便利に活用できそうだ。

Windows 8.1の「既知のネットワークの管理」にもあった使用済み無線LANアクセスポイントの削除機能が復活している

その他には「携帯電話」「DirectAccess」といった項目が見当たらないが、後者はWindows 10テクニカルプレビューのインストール時に、PCの所有者を会社・個人から選択するセットアッププロセスが影響していると思われる。

キーボードレイアウト誤認識からの解放

「アカウント」に並ぶ「お使いのアカウント」には、「アプリとWebサイトのアカウント」という項目が新たに加わった。文字どおりWindowsストアアプリやWebサイトで利用するMicrosoftアカウントを指定するというものだ。Windows 10テクニカルプレビューにサインインするアカウントと別々に管理できそうに見えるが、ビルド10041ではアカウントを削除できても追加するボタンは現れなかったため、今後は何らかの仕組みを追加するのだろう。

ビルド10041に加わった「アカウント\お使いのアカウント」の「アプリとWebサイトのアカウント」

「時刻と言語」に並ぶ「地域と言語」は一見すると変化していないように見えるが、日本語のオプションに「ハードウェアキーボードレイアウト」という項目の追加を確認できた。<レイアウト>ボタンを押すと新たなウィンドウから、「日本語キーボード(106/109キー)」「英語キーボード(101/102キー)」の2種類から選択可能である。

「時刻と言語\地域と言語」の「言語」から日本語を選択して<オプション>ボタンをクリック。現れたウィンドウの<レイアウトを変更する>ボタンをクリックすることでキーボードレイアウトを変更できる

そもそもWindowsは以前から、106/109キーボード(日本語配列)を101/102キーボード(英語配列)として誤認識する問題がある。そのためデバイスマネージャーからドライバーの更新を行う経験をお持ちの読者も少なくないだろう。どのような構造で本機能を実現しているのか不明だが、Windows 10は本機能を追加することで、ハードウェアキーボードの誤認識にも容易に対応できそうだ。

「プライバシー」も大きな変化はないものの、PCのマイクを使用する「マイク」には対応するアプリケーションとして「検索」が加わった。こちらはWindows 10の音声アシスタントシステムである「Cortana」による利用の有無を制御する設定項目だ。ビルド10041でも日本語には未対応だが、既定値は「オン」になっている。

「プライバシー\マイク」には、マイクを使用するアプリケーションとして「検索」が加わった

上図をご覧になると分かるように「連絡先」「カレンダー」「メッセージング」といった中カテゴリが加わり、各種データへのアクセス許可を制御するアプリケーションの取捨選択を行うようだ。また、「音声認識、手書き入力、タイピング」に変更点は見当たらないものの、ビルド9926はすべて英語だったメッセージが、ビルド10041ではすべて日本語に置き換わっている。

「プライバシー\音声認識、手書き入力、タイピング」のメッセージもすべてローカライズしている

最後の「保守と管理」についても述べたかったが、この続きは次回お送りする。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第18回) - コントロールパネルから「Settings」への移行が際立つビルド10041
http://news.mynavi.jp/articles/2015/03/25/windows10/
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