-:学生チームがどうしてもパフォーマンス重視に走ってしまうことに対して、mirai craftは現実にできそうなものを披露しました。それは、やはりできそうなものをという判断があったのですか?

mc:そうですね。アーキテクト部門の見せ方として、パフォーマンスで盛り上がるタイプと、見た人がほしいと思うようなタイプの2通りというか、別れ道がありますよね。そこをチーム内でどちらがいいのかを議論していった時に、企画書のことを考えたら、いい企画書とは「売れるものじゃないといけない」というところから入っていきまして、ああいう形になりました。ただ、パフォーマンスを重視した盛り上がるタイプに比べると、どうしても競技審査の点を得にくいところがありますから、そこをどういう風に見せるかというところを考えていったという感じです。

-:話は変わりますが、皆さん、どうやって集まったんでしょう?

mc:(関係者)会社にETロボコンの事務局があって、メンバーの募集が行われて、本部の活動として行っています。今回は2チームを出場しました(もうひとつはデベロッパー部門のアドバンストクラス)。当社はETロボコンを若手の育成に活用していまして、今年で参加して5年目になりますね。毎回、メンバーが何人か入れ替わるような形にしています。

-:ETロボコンを積極的に若手エンジニアの経験を積むための場として、企業側で活用しているわけですね。ちなみに、皆さん、参加年数は違うんですか?

mc:今日はメンバーが1人来られなかったのですが、今いる6人の中では2名が初参加で、2年目が三人、後はそれ以上のベテランですね。昨年はデベロッパーに出た者もいれば、アーキテクトに出た者もいます。

-:皆さん、エンジニアなんですか? 2013年のW優勝した内の社会人チームのSpecialBoysはMCにはトークの上手な方をということで、営業の方をチームに引っ張り込んだそうですが(画像7)、mirai craftはどうなんでしょう?

画像7。2013年CS大会でW優勝した企業チームのSpecialBoys。中央の王冠を被った人物がMCを担当した営業の方

mc:全員、組込み系のエンジニアですね。本部は一緒でみんなオフィスにある複合機の開発に携わっているのですが、ソフトウェア担当もいれば、ハードウェア担当もいるという具合で、それぞれ分野が異なっています。

-:ということは、6名の編制で、ソフトだけでなくハードもいけるって感じなんですか?

mc:いえ、やっぱりソフトの方が多いので、ハードは苦労しましたね。実際のシステムと、NXTを使うパフォーマンスで見せるシステムにどうしても差があるので、そこに難しい部分がありました。それから、企画を書く段階で、どんな企画にするかということで2013年の大会では、結構時間がかかってしまいまして、今年は気をつけていたのですが、やはり時間がかかってしまいました。どうしても重要なところなので簡単に済ますというわけにはいかないのですが、去年の反省を活かせなかったですね。

-:去年よりいいアイディアを出そう、ということでがんばったわけですよね。要は、産みの苦しみで一番苦労したのが企画段階だったと。

mc:そうですね。

-:(ここで企画審査の得点表が到着。この時点では一般には未公開だった)企画審査1位ですね。なおかつ、競技審査も3位ですから、企画でもパフォーマンスでも評価されたということですよね。本部審査員も会場もみんな味方につけての優勝と。会社としては完璧ですね。商品化の予定は?

mc:(笑)

-:ちなみに、活動期間はどれぐらいなんでしょう?

mc:5月ぐらいからなので、半年ぐらいですね。

-:南関東地区大会が9月13・14日ですから、地区大会までだと約4カ月ですね。その内のどれぐらいの期間を企画に割いたのでしょうか?

mc:2カ月近くですかね。何度も何度も練り直して、時間がかかりました。

-:では、開発はうまくいきました?

mc:(一瞬間が開いて)いや~、そうでもないですね(苦笑)。

-:開発も艱難辛苦があったと。そういう時は、チーム内がギスギスしそうですが、大丈夫でしたか?

mc:ギスギスしたりとかはあまりなかったですね。開発の大変だった部分というと、企画でこういうものをやりたいというのをまとめた時に、実際に「未来にこういうものがあったらいいな」というところから、それをどうやって全部パフォーマンスに落とし込んだらいいのか、というところが大変でしたね。どういう風に見せればそれが便利なものとして伝わるのか、実際にどういうものを作ればいいのかという点で苦労しました。

-:その点は成功してましたよね。今回は10チームがCS大会に出てきましたが、明らかに「あったらいいな、こういうショッピングモールできないかな?」という、便利さを感じさせる新たなソリューションとして、本来のアーキテクト部門の狙いである「こと作り」的なものをほぼ唯一感じさせてくれたチームだったと思いますから。ちなみに、役割分担はどうされてますか? リーダーの方が役割分担とかも行ってコントロールしていたのか、それともコントロール担当を別の人にやってもらって自分は開発に回るとか、そこら辺はどうしたんでしょう?

mc:役割としては、まずリーダー(画像8)がいて、アーキテクトが2名います。アーキテクトは、システム担当(画像9)と企画担当(画像10)がいます。システムと企画はそれぞれそのアーキテクトが中心となって推進してもらいました。そして、残りの4人がそれぞれ分担してサポートするという感じですね。実装に関しては、みんなで行ったという感じです。

画像8(左):2年目でリーダーを担当。画像9(中):同じく2年目のメンバーでシステムを担当。画像10(右):同じく2年目の彼は企画を担当

-:ちなみに、さきほどETロボコンの参加年数はうかがいましたが、年齢はいかがなんでしょう。最年少と最年長で。

mc:ETロボコン1年目の1人が最年少の25歳で、参加年数の最も多い4回の彼が29です。もう1人の参加1年目の彼は26ですね。

-:アーキテクト部門に参加した企業チームとしては、昨年のSpecialBoysと比べると結構若いですね。アーキテクト部門は経験がものをいう部分がものすごくあると思うので、会社としては、平均27ぐらいの若手チームがここまでやってくれたということで鼻が高い、ということでよろしいですか(笑)?(チーム関係者の方への質問)

一堂:(爆笑)

mc:(関係者)年齢も若いのですが、彼らは全員大学院卒業なので、入社2年目から5年目なんですよ。そんな中、過去に参加した経験のあるメンバーがうまく若手を引っ張ってくれましたね。リーダーの彼はETロボコン2年目ですが、そんな彼をETロボコン出場回数が多いメンバーが後ろで支えてくれたというのが大きかったですね。そういう縦の循環といいますか、縦の関係の中で、うまくチームを作り上げてくれたのが素晴らしかったと思います。