アセスメントサービスで既存環境の課題を可視化

多くの企業にとって仮想化環境の導入は、一大プロジェクトとなる。現在のインフラ環境を棚卸しし、自社にとって最適なシステム構成を決定しなければならない。しかし、「何が自社にとって適切なのか」を見極めるのは難しい。そうした課題を解決するのが、富士通の仮想化導入支援サービスである「仮想化アセスメントサービス」と「ストレージアセスメントサービス」である。

仮想化アセスメントサービスの概要図

仮想化アセスメントサービスは、仮想化導入を検討している企業のITインフラを調査し、精度の高いアセスメントを実施するものだ。現在稼働しているインフラ環境のサービスレベルや課題を整理し、稼働サーバの構成と性能情報を収集したうえで、現状を可視化する。そして、その収集した情報を分析し、企業にとって効率的な仮想化統合のサイジングプランを作成するサービスである。

情報収集には、ヒアリングシートを基にサーバ情報などをヒアリングし、 簡易サイジングツールを利用する方式と、顧客のシステムに情報採取ツールを設置して情報収集/分析を行う方式がある。

富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部の堀越恵太氏

また、ストレージアセスメントサービスは、仮想化アセスメントサービスと同様に顧客のシステム環境や要件をヒアリング/調査し、既存環境の問題点を整理したうえで、最適なストレージの導入プランを提案するサービスである。富士通プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部の堀越恵太氏は、「ストレージはインフラ全体の半分以上のコストを占める場合もあります。利用しないような大容量のストレージを導入しても無駄になるだけです。ストレージアセスメントサービスでは、既存のシステム環境を可視化し、潜在的な課題を詳らかにして分析することで、結果報告とともに最適な改善提案をします」と説明する。

実際、同サービスを利用した顧客の中には、割り当て済みディスクのうち、約50%が非稼働だったことが判明したケースもあったという。「一番の課題は、お客様がその事実に気付かれていなかったことです。このケースではストレージ自動階層制御機能を使い、頻繁にアクセスしないデータを自動的に安価なディスクへ再配置するようにしました。その結果、全ディスクの50%を安価なディスクで構成し、大幅なコスト削減に成功したのです」(堀越氏)

コスト削減および運用の効率化を実現するストレージとして注目されているのが、「ETERNUS NR1000F」である。今回のイベント主催者であるNetAppの製品OEMとしても提供されており、多くの利用者から高い支持を得ている製品だ。ETERNUS NR1000Fは、導入する際にサーバ側に新たなソフトウェアやドライバは不要で、汎用サーバと比較し、インストール時間を大幅に短縮できる。また、動的に容量増減可能なフレックスボリューム機能も備わっており、未使用領域を一元化することで、ストレージの効率的な運用が可能。厳密なストレージ容量の設計が不要になるので、ストレージ運用の観点からも効率化が期待できる。

ストレージの効率的な運用を可能とする「ETERNUS NR1000F」

複数のベンダー製品で構成された仮想化環境の運用管理は、一度問題が発生すると、その切り分けが難しい。企業によっては運用管理者の人事異動などで申し送りが十分でなく、どのような構成になっているか把握していない場合も多い。そうした課題を抱える企業にとってこうしたアセスメントサービスは、運用効率化を実現する第一歩となるはずだ。

「最適なストレージ環境を知り、運用コストを見極めるには、現状のシステムの棚卸しをすることから始まります。同サービスは、富士通製のストレージ以外でも診断します。『仮想環境を構築したものの、想定よりもパフォーマンスが上がらない』と悩んでいる管理者の方は、ぜひ相談して頂きたい」(堀越氏)。