これから始める人向けのデジタル原型セミナーを開催

フリーランス商業フィギュア原型師のスーパーバイザー(藤縄)氏

ステージイベントの一つであるセミナー、「始める前に知っておくべきデジタル原型のこと」には、フリーランス商業フィギュア原型師のスーパーバイザー(藤縄)氏が登壇した。高校時代に第一次フィギュアブームでフィギュア製作を開始した後、フリーランスの手原型師として15年活躍。2010年よりデジタル原型に移行したという同氏は、手原型師での長年の経験に基づいてデジタル原型についての解説を行った。

同セミナーではまず、「CGソフトの種類」として、ポリゴンモデリングとスカルプモデリングそれぞれのソフトを取り上げ、ソフトごとの特徴や、各ソフトが多く使われている分野などを説明した。

続いて、デジタル原型を始める人にとっては気になる部分であろう、「デジタル原型のメリット・デメリット」について紹介。メリットには、製作期間の早さや、脚の左右対称などで活用できるシンメトリ・ミラーの効果、模様などのパターン的なものの作りやすさが挙げられた。一方デメリットとしては、出力費用が高価になることや、3Dプリンタの精度が商業用のフィギュア原型に完全に対応できるところまでは達していないことがある。そのため出力後に、CG画面上と出力後の見え方の違いを補うための手修正が必要な場合がある。出力するまでスケール感がわかりづらいという側面もあるが、これは経験を重ねることでわかってくるそうだ。

図や写真を使ってわかりやすく説明が行われた

3Dプリンタでの立体出力については各方式が紹介されたほか、実際に作業をしている写真を使って、立体出力後の手修正が行われる様子も説明された。「デジタル原型」と言うとCG制作技術のイメージが先立つが、手原型の知識を持っていることが重要なのだという。最後は「デジタル原型製作の流れ」として、写真を交えながら製作過程を細かく紹介。基本的なやり方は手原型と変わらず、その工程がCGになると理解すれば良いとのことだ。CGでは左右均等にするためTポーズで製作を進めることが多いということや、靴ひものパーツなどは、反転コピーを取ることにより手原型よりも効率的に作れることなどが特徴だ。また、修正が入ったときに備えて、レイヤー分けをしておくのもポイントだという。

セミナーの最後には会場との質疑応答の時間も設けられ、レイヤーの分け方などを尋ねる声が聞かれた。

ブースには常に人が集まっていた

体験ブースやセミナーのにぎわいから、来場者のデジタルモデリングソフトへの関心の高さがうかがえる会場となっていた。デジタルモデリングソフトの利用者が増えるのに伴い、「Cintiq 27QHD」や「Cintiq Companion 2」など最新の液晶ペンタブレットへの注目度も上がることだろう。