三菱マテリアルは1月28日、ハイブリッド車(HV)などに使用される高出力モータなどの電源制御用インバータ向けの絶縁回路基板として、セラミックス基板の両面にアルミニウムを接合した従来の同社製DBA(Direct Bonded Aluminum)基板に、銅(Cu)放熱板を接合し放熱性を高めたCu放熱板一体型DBA基板を開発したと発表した。

高出力の電源制御用インバータをはじめとしたパワーモジュールでは、素子の高出力化に伴い発熱密度が増大するため、温度上昇によって素子が誤作動を起こしたり、絶縁回路基板が割れたりすることを防ぐため、絶縁回路基板のさらなる放熱特性向上が求められている。従来は、銅もしくはアルミニウム製の放熱板を、はんだで絶縁回路基板に接合したものが一般的に用いられているが、はんだ自体の熱伝導率が低いことに加え、はんだ接合部の厚み(約300μm)により、大きな熱抵抗が発生するため、絶縁回路基板の放熱特性を向上させることに限界があった。

これまで、同社はセラミックス基板の両面にアルミニウムを接合したDBA基板や、DBA基板のアルミニウムにCu回路材を直接接合した厚Cu付きDBA基板などを開発してきた。今回、これらの製造・開発で培った接合技術を応用することで、Cu放熱板を直接接合させたDBA基板を開発したという。

同製品は、従来のDBA基板にCu放熱板を直接接合した構造により、従来品よりも熱抵抗を低減した。また、融点の低いはんだ材を接合部に用いていないため、SiC素子などの高温半導体を用いたパワーモジュールにも適用可能となっている。さらに、Cu放熱板とセラミックス基板との間に接合した高純度アルミニウム層が、冷熱サイクルによる熱応力を緩和するため、セラミックス基板の割れを防止する。

この他、厚Cu付きDBA基板にCu放熱板を直接接合した構造では、下側にCu放熱板を接合し、上下のバランスを調整することで、温度依存の反りを大幅に低減できるという。

Cu放熱板一体型DBA基板

Cu放熱板一体型DBA基板(反り低減タイプ)