ソニーが2015年1月22日に発表した「SRS-X55」は、ワンボックススタイルのBluetoothスピーカー。2014年1月発表の上位モデル「SRS-X9」のようにハイレゾ対応ではなく、あくまでもスタンダードな環境での高音質再生を目指したものだ。推定市場価格は税別25,000円前後。

「SRS-X55」

SRS-X55の外観は従来モデル「SRS-X5」とそっくりだ。本体サイズもW221×D51×H118mmで、SRS-X5とまったく変わらない。しかし、パワーと音質面ではブラッシュアップが図られた。特に最大30Wという出力は、家庭用スピーカーとしては十分すぎるほどハイパワーだ。

まずはSRS-X55の外観をチェック

SRS-X55を正面から見ると、前面にはパンチングメタルのグリルが取り付けられている。グリルは取り外せないためユーザー自身が中を確認することはできないが、フロントバッフルにはφ38mmフルレンジ×2本、φ58mmのサブウーファー×1本のユニットが配置されている。

背面にもパンチングメタルのグリルを装備。こちらはグリル越しに2本のパッシブラジエーターを確認することができる。パッシブラジエーターはスクエアタイプで、サイズは公開されていないが、実測で1辺60mm弱といったところだ。

正面から見たSRS-X55

SRS-X55の内部構造イメージ

天面にはタッチ式の操作パネルが配置されている。ボタンは、上段が「ボリュームアップ/ダウン」と「電源」、下段が「SOUND」「Bluetooth」「AUDIO IN」「電話」となっている。SOUNDボタンは、音の広がりを加える「SOUND機能」のオン・オフを切り替えるためのもの。また、NFCは天面左手に用意されている。

背面には、ACアダプター端子やφ3.5mmステレオミニジャックのAUDIO IN端子、RESETボタン、USBポートが配置されている。USBポートは外部機器への「おすそわけ充電」用だ。

背面から見たSRS-X55

側面から見たSRS-X55

「SRS-X55」の操作パネル

「SRS-X55」の接続端子

SRS-X55の売りのひとつが新コーデック「LDAC」だ。SBCの約3倍の帯域を持つ高音質コーデックで、2015年1月時点での対応プレーヤーはウォークマン「NW-ZX2」シリーズのみ。しかし、4月には「ウォークマン A」シリーズでもソフトウェアアップデートによって使用可能になると予告されている。LDACでの再生については後日あらためて試してみたい。

低域重視だがユニット間のつながりがよく自然なサウンド

対応している音声コーデックはSBC、AAC、LDACで、aptXには非対応

SRS-X55でLDAC以外に利用できる音声コーデックはSBCとAACで、Androidスマートフォンで多く採用されているaptXには非対応となっている。筆者が使用しているAndroidスマートフォンとSRS-X55との接続においては、残念ながらSBCしか利用できない。

SBC接続で実際にSRS-X55のサウンドを聴いてみると、コンパクトなサイズながら思ったよりも豊かな低域だ。スピーカーに触れると低域の振動が指に伝わってくる。SRS-X55はR&Bやhip hopジャンルに合わせて音のチューニングを行っているそうなので、そういった音楽にマッチするバランスになっているのだろう。

厚みがあっても決して低域のみが分離しているわけではなく、全体として一体感を感じられるサウンドだ。DSPの設定が見直されたことで、フロントスピーカーとサブウーファーのバランスがSRS-X5から改善されている。ユニット間のつながりのよさは、この改善によるものだろう。

SRS-X55はSRS-X5に比べて、フルボリュームに近い状態での低音のふらつきも抑えられているとのことだ。可能な限り大ボリュームで聴いてみたのだが(出力30Wのスピーカーをフルボリュームで鳴らすのは、なかなか大変……)、低域のふらつきはとくに感じられなかった。

立体的なサウンドを実現する「SOUND」機能

SRS-X55には「SOUND」ボタンが装備されている。SOUND機能とは音の広がりを拡張するためのもの。左右のユニットが近接しているコンパクトなワンボックススピーカーでステレオ感を得るのは難しいのだが、この機能を使用することで、より立体的なサウンドを実現している。

ただし、SOUND機能をオンにすると筆者には若干フォーカスが甘くなるように感じられる。聞くソースによってはオン・オフを切り替えた方がよいだろう。

ハイレゾまでは必要ないが、高音質な再生環境を手軽に実現したい人にピッタリ

SRS-X55はワンボックススタイルのBluetoothスピーカーでありながら、サウンドのバランスはそのコンパクトさをあまり感じさせないモデルだ。

このところ、ハイレゾ環境が何かと話題だ。ハイレゾ環境を準備するほどのめり込むつもりはなく、手軽にある程度の高音質な再生環境を手に入れたい、という人にピッタリなプロダクトだといえるだろう。