開催中のCES 2015で、米Dellが発表した8.4型Androidタブレットの新製品「Dell Venue 8 7000」の実機に触れることができた。重さ306グラムで薄さ6ミリという超軽薄ボディに2,560×1,600ドットの高精細ディスプレイといったスペックはもちろん魅力だが、本稿では特に「カメラ」にフォーカス、というかカメラの"リフォーカス"機能に"フォーカス"してみたい。
実はこのVenue 8 7000、CES 2015で最初に話題になったのは、こちら記事でお届けした、CES開幕初日に行われた米IntelのKrzanich CEOによる基調講演の壇上でのことだ。Krzanich氏が特に力説した「Intel RealSense」技術を搭載する世界初のタブレットデバイスとして、このVenue 8 7000が取り上げていた。
Venue 8 7000の本体背面の下部を見ると、下向きの三角形を結ぶ頂点の配置で、3つのカメラレンズが確認できる。上側に2つならんだカメラが720pの3Dカメラで、下側の1つが8メガピクセルの通常の2Dカメラだ。これらを組み合わせることで、撮影画像の深度情報を使った後処理での写真加工を実現している。
「Intel RealSense Snapshot Depth」とよばれることになったこのカメラ技術で、最もわかりやすいのが、専用のカメラアプリで利用できるリフォーカス機能だ。Lytro(参考記事: 撮影後にリフォーカスできる「LYTRO ILLUM」発売)のように、撮影後の写真で任意の位置にピントを変えることができる。下の写真は実際にピンを変える効果を試してみたものなので、それを見ていただいたほうがわかりやすいだろう。
この専用アプリで利用できる機能で、もうひとつ面白かったのは、デプスフィルターと呼ばれる、写真内の深度の違いをレイヤー化し、ピクチャーエフェクトや合成写真がつくれるというものだ。深度ごとに色彩を変更し、前方の被写体はモノクロに、後方の被写体はビビッドにといった加工や、撮影済み写真内のオブジェクトの裏側にまわりこむオブジェクトを追加したりといった加工ができる。
今度は水上に浮かぶ船の写真に、IntelのCEOであるBrian Krzanich氏の写真を合成していろいろとイタズラしてみる |
指でタッチ&ドロップして、船の後ろに移動してもらった。移動させるだけで、船頭らの後ろに回りこみ、サイズもきちんと小さくなっている点がこの機能ならでは |
ほかにもメジャー機能もユニーク。撮影した写真はあくまで2Dなので、例えば手前に写った人物が、はるか後方のビルよりも2D上は大きく写るのは当然だ。メジャー機能では画面上を指でなぞって、なぞった範囲の長さを数値化するのだが、(どの程度正確な計測ができているのかは不明なものの)深度情報を利用し長さを補正して表示する。このようにIntel RealSense Snapshot Depthでは、深度由来のいくつかの機能を最初から楽しめるようになっており、タブレットにおけるカメラ体験をまた違ったものに変えてくれる。
最後にもうひとつ、ちょっと後回しにしてしまったVenue 8 7000のもうひとつの魅力もまとめておきたい。同社が世界最薄タブレットをうたう本体サイズ/重量はW124.4×D215.8×H6mm/306グラム。手に持った感じはコンピューティングデバイスというよりアルミ板。ディスプレイは8.4型の有機ELで非常にあざやかな上、解像度は2,560×1,600ドットと超高精細だ。ほかCPUがIntel Atom Z3580、メモリが2GB、ストレージが16GB、OSがAndroid 4.4 (Kit Kat)。価格は399.99ドルで、ちなみにCES中に販売スタートの発表があったので、ラスベガス市内のBest Buyまで様子を見に行ってみたが、残念、在庫切れだった。