2014年のスマートフォンを漢字一字で言い表すなら、どんな言葉が当てはまるのか。ここではライターの塩田紳二氏に、今年を象徴する一字を選んでもらい、その理由や所感を記してもらった。

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2014年のスマートフォンを一言で表すと「普」(あまねく)でしょうか。「普及」、「普通」、「普遍」の「普」です。

スマートフォンはすでに普及していますが、今年は、スマートフォンの発表や発売の様子などがNHKのニュースで取り上げられ、スマートフォンがお笑いのネタになったり、情報番組で話題のアプリが紹介されたりするようになりました。スマートフォンが普及した結果、社会的に認知されたわけです。

反面、画面が大きくなっただけで、何も変わらない、という声もあります。ですが、どんなものでも、普及すればするほど、進化の速度は遅くなるものです。

iPhoneを例にとっても、iPhone 4Sまでは3.5インチ、iPhone 5で4インチ、iPhone 6で4.7インチと大きくなっています。iPhone 6 Plusにいたっては5.5インチです

たとえば、自動車は、ハンドルで操作してアクセルでスピード、ブレーキで止まるという基本的な操作や、いまだにタイヤで走っているという部分は、ここ何十年、いや自動車の歴史が始まってからほとんど変化していません。筆者が子供の頃には「21世紀では自動車は空を飛んでいる」といった予測がされましたが、いまだに地面の上を走っています。

そういうわけで、スマートフォンは、ある意味、これからどんどん「変わり映え」しなくなります。変化がゆっくりとなり、これまでのように「大きな変化」を感じられなくなります。でも、停滞するわけではありません。変化の速度がゆっくりなので、大きな変化として感じられなくなるのです。

ハードウェアも進歩しますが、ハードウェアが変化させるのは「性能」だけです。もちろん、性能が可能にする機能というものものありますが、やはりハードウェアが劇的に変化しない限り、スマートフォンが劇的に変化することはありません。また、通信技術も通信速度やコストなどが段々と変わっていくでしょうが、2Gが3Gになって、インターネットアクセスが自由にできるようになったときのような変化は、次の4Gでは起こりえません。なぜなら3.9GとしてLTEが導入され、その延長上に4Gがあるからです。