日本市場と海外市場の関わりは?

--- この1年での、ファイルメーカー社主催のトレーニングの成果をお聞かせください。

エプリング 全国各地で数多くのセミナーやハンズオンを開催しています。入門レベルのものも、中上級レベルのものも、たくさんの方が参加してくださっています。トレーニングに注力する方針が日本でうまくいっているので、今年の4月からはヨーロッパでも同じ方法を導入しました。また、FBA各社の協力のもとで『FileMaker Drill Book』という書籍を制作し、販売を開始しました。これも好評です。この本は、日本オリジナルです。

ファイルメーカー社社長、ビル・エプリング氏

--- 先ほど、このカンファレンスのような機会があると日本の顧客と直接会って話せる、とうかがいました。顧客のニーズは、国によって違いますか?

ローゼンバーグ 共通していることが多いですかね……。世界中で、同じような要望が上がってきます。

米国FileMaker, Inc. マーケティング&サービス担当副社長のライアン・ローゼンバーグ氏

ルー 日本独自の機能は、もちろんありますけどね。和暦とかふりがなとか。

ローゼンバーグ ああ、そうそう、ありました! iOSデバイスのカメラでのバーコードのスキャンです。これは日本の、しかも医療関係の方からリクエストが多かったんです。そこで、この機能を実装しました。

ルー 今回のカンファレンスで、実装されたことのお礼をわざわざ伝えにきてくださった方がいたんですよ。

米国FileMaker, Inc. エンジニアリング担当副社長のフランク・ルー氏

エプリング お客様からの要望のほとんどは、世界共通です。ただ、日本のファイルメーカー社のスタッフは、お客様からの声を聞くのがとても上手なんです。だからそうした声を、私からライアン(ローゼンバーグ氏)やフランク(ルー氏)のチームに伝えています。日本のお客様からの要望が、世界中のユーザの役に立つのです。

--- 海外との関わりということでは、今回はFileMakerカンファレンスでは初めて、ホールでの講演に中国語、韓国語の同時通訳がありました。中国、韓国からの参加者がいるということですね?

エプリング 中国から16人、韓国から6人の方が参加しています。中国からは、お医者さんやFBAの方が来日していますね。また、韓国企業のBIN KOREA社がブースを出展しています。今回はまだ人数は少ないですが、今後、こうした交流に力を入れていきたいと考えています。

--- エプリング社長は、FileMaker社のNorth Asiaエリア(日本、韓国、中国)のセールスとマーケティングも指揮しているとのことですね。

エプリング 日本はたいへん成功している市場ですが、韓国、中国はこれから成長していく市場です。セールス、マーケティング、サポートと、いずれも成長の余地は大きいと見ています。中国ではiPadがとてもたくさん売れていますが、今のところは個人ユーザが多いんです。これからは、ビジネスでの活用が増えていくでしょう。日本で成功したモデル、たとえばFBAの皆様を重要なパートナーとして活動していくとか、医療関連のマーケットに力を入れるなどの取り組みをしていきます。

--- 日本のFileMakerユーザ、FileMaker開発者にとっても、中国や韓国には可能性があるということでしょうか?

エプリング 中国や韓国に生産や営業の拠点などを持つ日本企業はたくさんありますし、日本の開発者が中国や韓国へと市場を広げていくチャンスもあると思います。実際に、日本のFBAで、香港に拠点を開設した企業もあります。FBAやユーザの皆さんとともに、グローバルな展開をしていきたいと考えています。