11月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催された「2014楽器フェア」において、カシオ計算機は開発中のスマートフォン/タブレット端末向け音楽アプリを参考出展した。ほんの数小節間を鼻歌で歌うだけで作曲できてしまうユニークなアプリなど、様々な展示を行っていたので紹介しよう。

東京ビッグサイトで開催された「2014楽器フェア」。カシオ計算機は開発中の音楽アプリを参考出展した

「CZアプリ」(仮称)は、30年前にカシオ計算機が開発・販売した、デジタルシンセサイザーの名機”CZシリーズ”の音源をアプリで再現したもの。PD(Phase Distortion)音源によって作り出した33種類の波形で音作りが楽しめる。当時の音色を懐かしむマニアやDTMユーザーをターゲット層に想定しているが、レトロモダンな音を新鮮だと感じる若い音楽愛好者にも需要がありそうだ。担当者によると、現在主流のPCM(Pulse Code Modulation)音源では再現が難しい「PD音源ならではの独特創りが楽しめる」とのことだった。

CZアプリの利用イメージ。パラメーターを操作することで、幅広い音作りが楽しめる。ステージ用の音源や、曲作りのアイテムとしての利用を想定している

往年の名機「CZ-101」(1984年発売)も展示されていた(写真左)。CZアプリの入ったモバイル端末と外部MIDIキーボードを接続すれば、手持ちの鍵盤でCZの音を奏でられる(写真右)

「音楽遊びアプリ」(仮称)は、音楽に効果音を付加できるお遊びアプリ。あらかじめサンプリング(録音)しておいた身の回りの音を、普段聞いている楽曲に重ね合わせて遊べる。担当者は「自分の好きなアーティストの曲で気楽に遊ぶことができる。楽器を演奏するのはハードルが高い、DJも難しそう、そんな方にオススメです」と特長を説明していた。

利用イメージ。サンプリングした音が右側に小さなパッドとして並んでいる。左の大きなパッドでは曲のテンポなどを自由に変更可能

普段聞いている楽曲に効果音を添えて遊ぶ

「簡単自動作曲アプリ」(仮称)は、頭に思い浮かんだ2小節メロディーをスマートフォンのマイクに向かって吹き込むと、一曲まるごと自動で作曲してくれるアプリ。具体的には、Aメロの始めの2小節だけ歌えば、イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→エンディングまでがキチンと作曲されるといった具合だ。

アプリの利用イメージ。鼻歌を吹き込むだけで曲が出来上がる(写真左)。口笛・男声・女声を吹き込むことで、元になる2小節の認識精度を高めるように配慮されている(写真右)

自動作曲にはポップス、ダンス系、ロック、ジャズ、ラテンなどのジャンルや、曲調(楽しげな、バラード調、ノリの良い)が選択可能。さらにメロディーの動きの大きさ、テンション(クセのある音を使うか使わないか)といった要素で曲に変化をつけることもできる。実際に作曲を体験してみたが、ほんの数分で明るく楽しげな曲ができあがった。

アプリのUI。手軽に楽しく使えるように、専門用語は使わず、分かりやすい言葉を使うことにこだわった

開発で苦労した点を聞いてみたところ「メロディーのバリエーションを、どうやって増やしていくかに苦心した」とのこと。アプリの開発チームには、カシオの音作りに携わってきたメンバー、かつて楽器を担当していたメンバーなどが含まれているという。音楽に関する様々な分野において、製品とサービスを提供しているカシオの総合力が結実したアプリと言えるだろう。

作曲したメロディーをカシオの電子キーボードに出力することもできる

このほか、カシオのブースでは電子キーボードやシンセサイザーの新製品が数多く展示されていた。また、アーティストがデジタルピアノで演奏を披露したり、シンセサイザーの使い方をレクチャーしたりするイベントも行われていた。

アプリのほかにも電子キーボードやシンセサイザーなど様々な製品が展示されていた