11月5日、日本マイクロソフトは2014年の年末商戦向け施策を発表した。発表会の内容は本誌既報の記事をご覧いただくとして、本稿ではWindowsタブレットのシェア拡大について着目したい。

日本マイクロソフトがWindowsタブレットの拡販施策を実施するのは3回目。第1弾は3月にエイチ・アイ・エスと手を組んだ「タブレット×旅」、第2弾は5月にデータスタジアムと提携した「タブレット×スポーツ観戦」。今年はちょうどサッカーW杯開催というタイミングだったため、それなりの盛り上がりを見せたのではないだろうか。かく言う筆者も、試合終了後にWindowsストアアプリの「リアサカLIVE」を起動し、タブレットで「あそこで選手が相手を止めれば……」と"たられば"を繰り返していた。

「タブレット×旅」キャンペーンの発表会で日本マイクロソフト 執行役常務の香山春明氏は、「2014年末には3割のシェアを取りたい」と発言している。2013年第4四半期におけるWindowsタブレットのシェアは26%。第3四半期までに比べ、倍増という大幅な成長だ。

当時コンシューマー&パートナーグループ担当だった香山氏

IDCの調査によるWindowsタブレットのシェア

「タブレット×スポーツ観戦」キャンペーンの発表会ででは、同社業務執行役員(当時、現在は執行役)の金古毅氏が、同じくIDGの調査データを提示し、2014年第1四半期にシェア30.5%に達したことを報告した。

コンシューマー&パートナーグループ OEM 統括本部長の金古氏

同じくIDCの調査データ。2014年第1四半期にはシェア30.5%に

続く7月。日本マイクロソフトは2015年度 経営方針記者会見を開催した。ここで取締役代表執行役社長の樋口泰行氏は、記者からの質問に「(個人・法人を対象に)50%を目指す」とWindowsタブレット市場の拡充を明言した。

そして今回の「COOKレット」キャンペーンの発表会で同社執行役の高橋美波氏は、Windowsタブレットのシェアについて、最新のデータこそ提示しなかったものの「3割達成を目指したい」と述べている。樋口氏の言う「50%」との差に関しては、「3割はあくまでも2014年内の目標値」と期限の違いがあることを説明した。

取締役代表執行役社長の樋口氏。意気揚々と好調をアピールしていた

コンシューマー&パートナーグループ ゼネラルマネージャーの高橋氏

筆者が各所で取材した範囲では、今年後半は企業や官公庁へWindowsタブレットの普及が進んでいるように感じる。もちろん日本マイクロソフトだけではなく、OEMメーカーを含めた営業努力の賜物だが、Windowsタブレットが市場の3割以上を確保できるか否かは、Windowsタブレットを本来のタブレットとして活用するWindowsストアアプリの存在が大きいはずだ。

Microsoft/日本マイクロソフトも努力しているが、Windows 8リリースから早2年。Windowsストアからは、いまだにキラーアプリは登場していない。強いて言えば「OneNote」が挙げられるが、これはMicrosoft純正のアプリでサードパーティのものではない。2015年中に登場するWindows 10もデスクトップ環境の強化が主たるアピールポイントであることを踏まえると、ソフトウェア開発者の間口を広げる施策が必要ではないだろうか。