NTTドコモから2014年冬-2015年春モデルとして、富士通製のAndroidタブレット「ARROWS Tab F-03G」が11月8日に発売される。10.5インチ・2,560×1,600ピクセルの高解像度ディスプレイや防水・防塵(ぼうじん)性能などを搭載しながら、重量約433gの軽量設計を実現した注目製品だ。本稿でその使い勝手をチェックしていこう。

ARROWS Tab F-03G

大型・高解像度ディスプレイの特徴をチェック

ARROWS Tab F-03Gは、10.5インチWQXGA(2560×1600ピクセル)という高解像度の有機ELディスプレイを搭載したタブレット。有機ELを採用したことで、200万:1という高コントラスト比を実現。加えて、NTSC比99%の色再現性、180度の広視野角を誇るなど、美しく鮮やかなディスプレイが特徴の製品だ。

2560×1600ピクセルの有機ELディスプレイを採用。高輝度、高コントラスト、広視野角を実現している

実際にARROWS Tab F-03Gに触れてみるとわかるが、解像度と色再現性がとにかく高いので、デジタルカメラで撮影した写真を表示するのが楽しい。最近はスマートフォンの写真もキレイになったし、無線LAN内蔵のデジカメであれば、撮影してすぐにタブレットに転送できるので、撮影画像をすぐに大画面で確認できる。フォトビューワーとしても十分な実力を備えている。

本体前面と背面。側面にはボリュームキー、microSD/nanoSIMカードスロット、テレビ用のアンテナなどが配置されている

最近は、4K動画を撮影できるスマートフォンやデジカメも増えており、そうした動画もARROWS Tab F-03Gならば快適に視聴できる。解像度自体は2560×1600ピクセルと4Kではないが、4K動画の精緻な映像をよりはっきりと表示することができる。実際にデジカメで撮影された4K動画を視聴してみると、4K動画らしい緻密で立体感のある映像がスムーズに表示され、メディアプレイヤーとしてもかなり優秀だ。

高解像度で見栄えのいいディスプレイを搭載しながら、本体重量は約433g。10インチ以上のディスプレイを搭載した3G/LTEタブレットとしては世界最軽量(2014年9月30日現在富士通株式会社調べ)というボディは、長時間持っていても疲れにくく、持ち運びも苦にならない。加えて、厚さも8.5mmと薄型かつフラットな筐体デザインを採用しているため、カバンやリュックなどにも収まりがいい。

前面と背面にカメラを搭載。背面は有効画素数約810万、前面は約130万画素カメラとなっている

指紋認証も備えており、セキュリティ面も配慮されている

背面にかけて側面がやや丸みを帯びており、薄さを演出するとともに、持ちやすさも高めている

美しい画面を生かしテレビや電子書籍を快適に!!

機能面では、画面下部にある虫眼鏡アイコンに注目したい。これは、画面をズーム表示するための「いつでもズーム」ボタンで、タッチすると画面全体を拡大表示してくれる。どのアプリでも、どの画面でも拡大できるので、文字が小さくて見にくいWebサイトやアプリもワンタッチで拡大することができる。

画面下部、左端にあるのがいつでもズームボタン

このズームボタン(赤丸部分)をタッチすると、画面が拡大表示される。ピンチイン・アウトで拡大比率は変更できる

続いて、これからの季節に嬉しい「手袋タッチ」モード。その名のとおり、手袋をしていてもタッチ操作が利用できるようにする機能だ。最近はスマートフォン対応手袋もあるが、ファッションとしてそういう手袋は着けたくないというユーザーにはうれしい機能だろう。

設定画面の手袋タッチモードの設定。試用した限りは、常時オンでも問題なさそうだった

さらに、防水・防塵性能を備えている点も心強い。IPX5/IPX8の防水、IP5Xの防塵性能で、雨に降られた状態でも使えるし、浴室内での利用についても、メーカー独自の試験基準に基づいた検証がされている。「湯船につかりながらネットを楽しむ」といった使い方も問題なくできる。

お風呂での利用と言えば、録画対応のワンセグ・フルセグ機能についても言及しておきたい。防水・防塵のARROWS Tab F-03Gは、もちろん「お風呂につかりながら、ゆっくりテレビを観る」という使い方も可能だ。加えて、キッチンで水仕事しながら、テレビのチャンネルを変えたり、レシピサイトを閲覧したり、ということもできる。

なおARROWS Tab F-03Gには別売りで、テレビアンテナの接続端子が設置された専用クレードルが提供される。このクレードルを利用すれば、電波の届きにくいエリアでも、安定した画質でテレビを視聴することができる。

付属のクレードル。背面にはテレビアンテナ用端子もある

実際に設置したところ

テレビ関連機能としては、ホームネットワークプレイヤーの「DiXiM Player」がプリインストールされているのも見逃せない。最近のHDDレコーダーなどは、ネットワーク経由で録画番組を配信する機能を備えているものが多い。DiXiMはそうした番組配信を受信できるので、レコーダーで録画しておいた番組を観る、といった使い方が可能だ。

DiXiM Playerを使えば、家庭のレコーダーの番組も視聴できる。nasneのような対応機種であれば、無線LAN経由でリアルタイムにテレビ番組を視聴することも可能。録画番組の視聴も可能

このほか、紹介しておきたいのが電子書籍の閲覧だ。ARROWS Tab F-03Gの高解像度ディスプレイは、動画やテレビの閲覧だけでなく、電子書籍の閲覧にも向いている。

画面サイズが10.5インチと大型なので、小説だけでなくマンガや雑誌も快適に読むことができるし、高解像度なので見開き表示でもすみずみまで視認できる。もし、文字サイズが小さいと感じたら、前述のいつでもズームボタンを利用すればよい。ワンタッチで拡大して確認できて、想像以上に快適だ。

プライベートだけでなくビジネスシーンでも活躍する?

ARROWS Tab F-03Gは、動画や電子書籍など「コンテンツを見る」だけでなく、「作成」にも威力を発揮する。

日本語入力システムとして定評のあるジャストシステムの「ATOK」の進化版「Super ATOK ULTIAS(スーパー エイトック ウルティアス)」を搭載しており、安定した文字入力が利用きる。最新のキーワードが毎週更新されたり、内蔵辞書で言葉の意味を表示してくれたり、日本語入力のサポートも万全だ。

日本語入力はSuper ATOK ULTIASを搭載。下部にある操作アイコンは独自のもの。フリック入力と手書きを組み合わせて入力もできる。右手でフリック入力、左手で手書き、といった使い分けも可能。下部の「左寄せ」を押すと、キーボードの位置が入れ替わり、左利きでも操作しやすい

大画面・高解像度を生かしてExcelやWordなどのOfficeファイルの編集も快適に行えるので、仕事のツールとしても十分活用できそうだ。最近はタブレット向けにBluetoothキーボードもいろいろ出ているが、Super ATOK ULTIASと組み合わせれば、長文書きも問題なくこなせそうな印象だった。

動画や電子書籍、ファイルの編集など十二分に使おうとすると、やはり気になるのがバッテリ容量だ。7,840mAhの大容量バッテリを搭載するARROWS Tab F-03Gだが、残量を気にせず一日利用することはできるだろうか? そこでベンチマークアプリ「PCMark for Android」でテストしたところ、バッテリ駆動時間(バッテリ残量が100%から20%に減るまでの連続駆動時間)は9時間22分だった。よっぽど特殊な使い方をしないかぎり、バッテリ残量を気にせず利用することができるだろう。

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本稿で紹介したARROWS Tab F-03Gは、筆者としてはNTTドコモの2014年冬-2015年春モデルの中で最注目の製品だと思う。高いスペックを備えながら、軽く薄く、持ち運びも苦にならないデザインを実現した使い勝手の良いタブレット端末に仕上がっている。