説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『なぜ「AirDrop」はBluetoothを使うのにファイル転送が速いの?』という質問に答えます。
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iOS 8で機能強化された「AirDrop」は、iOS 8デバイス同士はもちろんのこと、10月に公開されたMacの最新システム(OS X Yosemite)ともファイルを送受信できます。ハードウェアがBluetooth 4.0(Bluetooth LE)に対応していること、通信時に無線LANとBluetoothの両方をオンにしておくことという条件はありますが、いつ/どこでもワイヤレスでファイルをやり取りできる利便性の高い機能です。
この新しくなった「AirDrop」は、Bluetooth LEのメリットを生かしていることが特徴です。いつ/どこでも他のAirDrop対応ハードウェアから検出できるよう、Bluetoothをオンにしておく必要がありますが、圧倒的な低消費電力により、意識するほどにはバッテリーを消費しません。
AirDropのファイル転送が高速な理由は、Bluetooth LEと無線LANの組み合わせにあります。常時オンのBluetooth LEを利用してファイル送信先のデバイスとのセッションを確立し、通信経路を無線LANに引き継ぎます。Bluetooth LEの通信速度は正味300kbps前後と低速ですが、この"バトンリレー"のようなしくみにより、無通信時は消費電力を少なくたもち、通信開始後は無線LANのスピードを生かしたファイル転送が可能になります。
なお、AirDropで通信するときには、送信側/受信側の両方ともBluetooth LEと無線LANを有効にしておく必要があります。Bluetooth LEまたは無線LANのどちらかをオフにすると、ただちにAirDropはオフになり、他のAirDrop対応デバイスから検出できなくなります。