会場でひときわ目を惹いていたのが、クマのマスコット「ぽすくま」だ。JPタワー・KITTE(1階アトリウム)の中空に設置された全長5mの巨大ぽすくまバルーンをはじめ、会場に姿を現した「ぽすくま」の周囲には常に人だかり。愛らしい姿、郵便をイメージさせる帽子とたすき掛けのカバン。「ぽすくま」をデザインした日本郵便の中丸ひとみさんにお話をうかがったところ、2012年秋のグリーティング切手から「ぽすくま」はデビューした。

老若男女に愛されているテディベアのような存在をコンセプトにキャラクターメイキングされ、平面から着ぐるみへ、そして数々のキャラクター商品まで幅広く展開中だ。今後もより一層、みんなから親しまれる存在として認知を拡大できればと意欲に燃えていた。

アトリウムに展示された全長5mの「ぽすくま」バルーン。質感もしっかりぬいぐるみ調で、かわいさ満点でした(写真左)。ぽすくまの生みの親でもある、日本郵便の中丸ひとみさん(写真右)

会場内にオープンした「ぽすくま郵便局」では、「ぽすくま」のオリジナルグッズを買い求める人で絶えず長蛇の列

親しみやすい「ぽすくま」の存在に加え、今回のイベントには数々の体験ができるコーナーやワークショップが目白押しだった。「手紙をよく出される方もそうでない方も、"気軽に手紙って書けるものなんだよ"と伝われば」とは、本イベントの企画責任者でもある在原真紀子さん。若者による手紙の提案、カシオ計算機や月光荘画材店メリーチョコレートなどとのコラボレーションによる新たなスタイル提案など、老若男女を問わず手紙に触れるきっかけになればとの思いを語ってくれた。

若者による手紙の提案。思い思いに手紙の良さや気持ちの伝わりやすさなどを説いていた

カシオ計算機ブースでは、立体的な造型がユニークな「カシオアート」を展示。樫尾社長もブースに立ち寄っていた

「ぽすくま」とのコラボレーション作品も人気。実はこの作品、定形外郵便として手紙として使用することも可能なのだ

月光荘画材店のブース。手紙を認める際に用いる鉛筆や便せんなど、非常にオシャレなアイテムが充実していた

体験コーナーやワークショップには、老若男女さまざま世代、性別の方々が"手紙を書く"ということを手軽に、そして、楽しみながら体験していた

メッセージフェスタ2014 in KITTEの企画責任者でもある、日本郵便の在原真紀子さん

日本郵便 切手・葉書室 担当部長の山下健一郎さん

また、日本郵便 切手・葉書室 担当部長の山下健一郎さんは「とかくコミュニケーションの手段となると、メールやLINE、FacebookなどのSNSになりがちだが、手紙が持つ生活シーンを提案したい」と、今回のメッセージフェスタ開催の経緯を語ってくださった。

一言で「手紙」と表現しても、ハガキや便せん、鉛筆や万年筆といった文房具などはもちろん、手紙を書く空間や環境なども含まれてくる。そういった「手紙」を取り巻く環境について日本郵便から新たな提案を行い、来場者に手紙を書くきっかけやヒントになればとの狙いだ。

「自分たちでアポイントを取って出演者を調整した」というトークショーも、手紙を書くという行為やそこに込められた想いを聴くことによってヒントを得てほしいとの思いがうかがる。また、山下さんは「手紙は相手に素直に想いを伝えることができるツール。相手に手紙が届けば何らかのリアクションがあり、そこからコミュニケーションを深めてほしい」と手紙に対する想いを語ってくださった。

地下1階東京シティアイで開催されたトークショーは、スペースから人があふれんばかりの盛況ぶり

トークショーで「ことば」をテーマに語るゲストスピーカーの谷川俊太郎さん。時折ジョークを交えながら聴衆を沸かせていた

さて、メッセージフェスタ2014 in KITTEに出店していたカシオ計算機。今回、日本郵便のイメージキャラクター「ぽすくま」とカシオ計算機の立体アート「カシオアート」とのコラボレーション商品も用意されるなど力が入っていたが、その真意は何なのか?

キーマンとなるカシオ計算機 執行役員 デジタル絵画事業部長の寺田秀昭氏にお話をうかがってみた。「印刷において平面から立体へ。日本最高峰のデザインが施された切手の図版を、サーマルディステントという技術を用いてアート作品としてコラボレーションしました。このイベントでは、皆さまに"あ、こんな立体的な印刷もあるんだな"と、カシオアートという存在を知っていただけたらと思います。今後も、日本郵便と密なコラボレーションを続けて、老若男女を笑顔にしたい」と述べていた。

カシオ計算機 執行役員 デジタル絵画事業部長の寺田秀昭氏(写真左)。切手の図柄としてもよく目にする浮世絵なども、「カシオアート」のサーマルディステント技術を駆使すれば立体的にも楽しめる作品へと進化する(写真右)

カシオのプロジェクター技術を応用したサイネージ機器「カシオサイネージ」。写真の「ぽすくま」のように、スクリーン化するキャラクターの自由度が高い。音声やタッチ操作によるナビゲーションも可能

ぽすくま×カシオアート

メールやSNSでのコミュニケーションが当たり前となっている今の時代。手紙を書くなんて気恥ずかしい、手描きはちょっと面倒だなどと思ってしまいがちである。しかし翻せば、そういった手間や想いを込めて送る手紙が持つ力は計り知れず、必ずや相手に強く伝わることだろう。手紙というアナログな手法、改めてその価値を見直してみたいと強く感じた。